赤字決算でも融資は受けられるのか|赤字の「中身」で結論は変わる
この記事の結論
- 「赤字だから借りられない」は、正しくない。審査で見られているのは、赤字かどうかではなく、赤字の「中身」である。
- 赤字は5つの類型に分かれる。①先行投資型 ②一過性 ③構造的(営業赤字が継続している) ④粉飾の裏返し ⑤節税型。①②⑤は説明できれば通ることがあり、③は厳しく、④は致命的だ。
- 通る赤字と通らない赤字を分ける唯一の基準は、営業キャッシュフローがプラスか。損益計算書が赤字でも、営業CFがプラスなら、事業は現金を生んでいる。ここが分岐点になる。
- 赤字は、金融機関の債務者区分にも直結する。ただし、赤字=要注意先ではない。区分を分けるのは債務償還年数(有利子負債÷(営業利益+減価償却費))で、10年が警戒ラインだ。
- そして、ファクタリングは売掛先の信用力を中心に審査されるため、自社が赤字でも利用できる場合がある(※各社の審査基準によります)。ただし、手数料は融資の金利より高い。使う順序を間違えないでほしい。
決算が、赤字で終わった。
税理士から決算書を受け取り、最終行の数字を見た瞬間、
「これで、もう借りられないな」
——そう思った人が、この記事を読んでいるはずだ。
その結論は、早い。
18年、中小企業の資金調達を見てきて、断言できることがある。
赤字決算で融資が通った会社を、私は何十社も知っている。
そして、黒字なのに落ちた会社も、同じくらい知っている。
審査担当者は、「赤字か黒字か」を見ているのではない。
「なぜ赤字になったのか」「その赤字は、来期も続くのか」「事業は、現金を生んでいるのか」
——これを見ている。
だから、この記事では赤字を5つに切り分ける。
①先行投資型(設備・人材への投資が原因)
②一過性(災害・大口貸倒れ・特別損失)
③構造的(営業赤字が継続している)
④粉飾の裏返し(過去の粉飾を修正した)
⑤節税型(役員報酬・保険で意図的に)
①②⑤は、説明できれば通る。
③は、厳しい。
④は、致命的だ。
そして——
この5類型を、たった1つの数字で振り分けることができる。
営業キャッシュフローが、プラスか、マイナスか。
損益計算書が赤字でも、事業が現金を生んでいるなら、話は変わる。
その計算方法から、説明資料の作り方まで、全部書く。
まだ、終わっていない。
目次
01「赤字だから無理」が、正しくない理由
まず、前提を整理する。
金融機関は、なぜ融資をするのか。
利息を得るためだ。
そして、元本が返ってこなければ、利息どころではない。
だから、審査で見ているのはたった一つ。
「この会社は、貸した金を返せるのか」
——これだけだ。
「赤字か黒字か」は、その判断材料の一つにすぎない。
しかも、かなり粗い材料だ。
なぜか。
損益計算書の当期純利益は、現金の増減と一致しない。
減価償却費は、現金が出ていかない費用だ。
売掛金は、売上に計上されているが、現金はまだ入っていない。
つまり——
赤字でも、現金が増えている会社がある。
黒字でも、現金が減っている会社がある。
後者を、黒字倒産という。
審査担当者は、このズレを知っている。
だから、損益計算書の最終行だけで判断はしない。
「なぜ赤字なのか」を分解しにいく。
その分解を、先回りしてこちらから提示できるかどうか。
これが、赤字決算の融資審査における最大の勝負どころだ。
02赤字を5類型に切り分ける
では、分解の道具を渡す。
赤字は、5つに分かれる。
自社の赤字がどれに当たるかを、決算書を見ながら判定してほしい。
①先行投資型の赤字
設備を入れた。
人を採った。
システムを導入した。
費用が先に立ち、売上が追いつく前に期末が来た。
これが、先行投資型だ。
この赤字は、最も説明しやすい。
なぜなら、赤字の原因が「未来への支出」だからだ。
審査担当者に見せるべきは、たった1枚。
「この投資は、いつ、いくら回収するのか」
投資額。
想定される売上増。
回収までの月数。
これを数字で書いた1枚があれば、赤字の意味が反転する。
赤字は、「衰退の証拠」から「成長の準備」に変わる。
②一過性の赤字
災害で工場が止まった。
大口の取引先が倒産して、売掛金が焦げ付いた。
訴訟の和解金を払った。
今期だけの、特別な損失だ。
この場合、見るべきは「営業利益」だ。
当期純利益が赤字でも、営業利益が黒字なら、本業は利益を出している。
赤字の原因は、本業の外にある。
これを、損益計算書のどの段階で赤字に転じたかを示しながら説明する。
「営業利益は◯◯万円の黒字。特別損失◯◯万円により、当期純利益が赤字となった」
——この1行が書けるかどうかだ。
2026年上半期の企業倒産は5,335件(TDB)。
前年同期比+6.6%で、上期として12年ぶりに5,000件を超えた。
売掛金の回収難による倒産は2026年上半期で32件。
前年同期の14件から+128.6%だ。
取引先の倒産による一過性の赤字は、いま実際に増えている。
これを説明できるかどうかで、評価は変わる。
③構造的な赤字(営業赤字が継続している)
ここが、最も厳しい。
営業赤字が、複数期にわたって継続している。
売上総利益率が崩れている。
つまり、本業そのものが利益を生んでいない。
——正直に書く。
この状態で融資を受けても、問題は解決しない。
借りた金は、赤字の穴埋めに消える。
そして、返済という新しい固定費だけが残る。
私が18年見てきた中で、最も多い失敗パターンがこれだ。
構造的な赤字を、借入で埋める。
翌年、また赤字になる。
また借りる。
3年で、債務償還年数が20年を超える。
そこから先は、どこも貸してくれない。
では、どうするか。
融資より先に、収益構造を立て直す。
売上総利益率がなぜ崩れたのか。
原価が上がったのか。
単価が下がったのか。
不採算の取引が混ざっているのか。
ここを直さずに借りるのは、穴の空いたバケツに水を注ぐのと同じだ。
そして、どうしても返済が回らないなら——
借りるのではなく、返済条件を変える。
リスケ(返済条件変更)の全手順|中小企業活性化協議会と405事業に、手順と、公的な支援制度(405事業:費用の3分の2補助・上限300万円)を書いた。
これは、恥ずかしいことではない。
④粉飾の裏返し(過去の粉飾を修正した)
架空売上を計上していた。在庫を水増ししていた。
それを、あとから修正した結果、赤字になった。
このケースは、審査上、最も厳しく評価されます。
理由は、赤字そのものではありません。
「この会社の決算書は、信用できるのか」という、根本の信頼が失われるからです。
金融機関は、決算書を前提に判断します。その前提が崩れれば、判断のしようがありません。
そして、この情報は金融機関の間で共有されます。
だからこそ、粉飾に手を出してはいけません。そして、すでにあるなら、隠し続けるほど傷は深くなります。
自主的に修正し、経緯を説明し、再生計画を示すという道は残されています。中小企業活性化協議会への相談を検討してください。
⑤節税型の赤字(意図的に赤字にした)
役員報酬を高く設定した。
生命保険料で利益を圧縮した。
その結果、会社は赤字になった。
これは、説明次第だ。
金融機関は、役員報酬を「実質的な利益」として見直すことがある。
たとえば、役員報酬が年3,000万円で、会社の当期純利益が▲500万円だとする。
審査担当者はこう考える。
「役員報酬を1,000万円に下げれば、2,000万円の利益が出る。つまり、実質的には1,500万円の黒字だ」
——ここまで見てくれる。
ただし、条件がある。
「いざとなれば役員報酬を下げられる」という説明が、説得力を持つこと。
そして、その意思があると伝わること。
節税のために赤字にしておいて、融資のときだけ「実質は黒字です」と言うのは、通らない。
節税と資金調達は、トレードオフだ。
両取りはできない。
03通る赤字と、通らない赤字
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| 類型 | 赤字の原因 | 営業利益 | 営業CF | 審査上の評価 | 必要な説明 |
|---|---|---|---|---|---|
| ①先行投資型 | 設備投資・人材採用・システム導入 | 赤字のことも | プラスのことが多い | 説明できれば通ることがある | 投資の回収計画(いつ・いくら回収するか) |
| ②一過性 | 災害・大口貸倒れ・特別損失 | 黒字のことが多い | プラスのことが多い | 説明できれば通ることがある | 損失の内訳と、再発しない根拠 |
| ③構造的 | 営業赤字が継続。売上総利益率が崩れている | 赤字(継続) | マイナスのことが多い | 厳しい | 収益構造の立て直し計画(融資より先に) |
| ④粉飾の裏返し | 過去の粉飾を修正した | - | - | 致命的(決算書の信頼が失われる) | 経緯の開示と再生計画(活性化協議会へ) |
| ⑤節税型 | 役員報酬・生命保険で意図的に圧縮 | 赤字のことも | プラスのことが多い | 説明次第 | 役員報酬の水準と、下げられる余地 |
この表を、縦ではなく「営業CF」の列で横に読んでほしい。
通る赤字は、営業CFがプラス。
通らない赤字は、営業CFがマイナス。
きれいに、分かれる。
これが、この記事の核心だ。
04唯一の基準:営業キャッシュフローがプラスか
損益計算書は、「儲かったか」を示す。
キャッシュフロー計算書は、「現金が増えたか」を示す。
この2つは、一致しない。
そして——
融資の返済は、現金でしかできない。
利益では返せない。
現金で返す。
だから、審査担当者が本当に知りたいのは
「この会社の事業は、現金を生んでいるか」
——これだ。
それを示すのが、営業キャッシュフローだ。
05営業CFの計算方法(3分でできる)
キャッシュフロー計算書を作っていない中小企業がほとんどです。
だから、決算書の数字から簡易に計算します。
営業CF(簡易)= 税引後当期純利益 + 減価償却費 − 売掛金の増加 + 買掛金の増加 − 棚卸資産の増加
もっと簡単に、次の3つだけで概算しても構いません。
営業CF(超簡易)= 税引後当期純利益 + 減価償却費
たとえば——
・当期純利益:▲300万円(赤字)
・減価償却費:800万円
→ 営業CF(超簡易)= +500万円
損益計算書は赤字。しかし、現金は500万円増えている。
この会社は、事業から現金を生んでいます。返済原資が、ある。
逆に——
・当期純利益:▲300万円(赤字)
・減価償却費:100万円
→ 営業CF(超簡易)= ▲200万円
この会社は、事業から現金が出ていっています。借りても、返済原資が生まれません。
この計算を、申し込む前に自分でやってほしい。
3分で終わる。
そして、営業CFがプラスなら、その数字を資料の一番上に書く。
「当期純利益は▲300万円の赤字ですが、減価償却費800万円を加味した営業キャッシュフローは+500万円です。返済原資は確保できています」
この2行を書ける会社は、赤字でも通ることがある。
そして、この2行を書けない会社は、黒字でも落ちることがある。
審査は、「数字」ではなく「説明」で決まる部分が確かにある。
資金繰り表の作り方は資金繰り表の作り方|銀行に出す月次表と、自分を守る日繰り表は別物に記入例つきで書いた。
営業CFの数字を、月次の資金繰り表とセットで出す。
これが最強の組み合わせだ。
06債務者区分との接続(赤字=要注意先ではない)
ここで、金融機関の内部の話に接続する。
銀行は、すべての融資先に「債務者区分」という札を付けている。
正常先/要注意先/要管理先/破綻懸念先/実質破綻先
——の5段階だ。
よくある誤解:「赤字になったら要注意先に落ちる」
これは、正しくない。
区分を分けているのは、赤字かどうかではない。
債務償還年数だ。
有利子負債 ÷(営業利益+減価償却費)
これが10年以内なら、赤字でも正常先に留まることがある。
逆に、黒字でも20年を超えていれば、区分は下がる。
「赤字=アウト」ではない。
「返せる速度」の問題だ。
債務者区分の5段階と債務償還年数の詳細はビジネスローンの審査基準|銀行が付ける「債務者区分」5段階から逆算するでピラミッド図にした。
自社がどこにいるかを、先に把握してほしい。
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| ケース | 当期純利益 | 減価償却費 | 営業利益 | 有利子負債 | 債務償還年数 | 見立て |
|---|---|---|---|---|---|---|
| A社 先行投資型の赤字 |
▲300万円 | 800万円 | 200万円 | 8,000万円 | 8.0年 | 赤字だが、正常圏に留まりうる |
| B社 黒字だが借入過多 |
+200万円 | 300万円 | 400万円 | 1億5,000万円 | 21.4年 | 黒字だが、区分は下がる |
| C社 構造的な赤字 |
▲800万円 | 200万円 | ▲600万円 | 6,000万円 | 算定不能 (分母がマイナス) |
融資より先に、収益構造の立て直し |
この表のB社を見てほしい。
黒字だ。
だが、債務償還年数は21.4年。
A社(赤字・8.0年)より、評価は下になりうる。
これが、「赤字だから借りられない」が正しくない理由だ。
商号:アクト・ウィル株式会社/登録番号:東京都知事(5)第31521号/実質年率:年3.00%〜年15.00%/遅延損害金:年20.00%(利息制限法7条の上限)/返済方式:元利均等返済ほか(契約により異なります)/返済期間・返済回数:契約により異なります/担保・保証人:契約内容により必要となる場合があります/ご利用にあたっては審査があります。
※お申込みの時間帯・審査状況により、翌営業日以降となる場合があります。※記載の条件は2026年7月時点の同社公表値です。登録番号は金融庁「登録貸金業者情報検索サービス」で照合できます。
07赤字の「中身」を説明する、3点セットの資料
では、何を持っていけばいいのか。
3点セットだ。
これ以上でも、これ以下でもない。
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| 資料 | 書くべきこと | やってはいけない書き方 |
|---|---|---|
| ① 赤字の原因(1枚) | 「当期純利益 ▲300万円。うち設備投資に伴う減価償却費の増加が500万円。これを除けば200万円の黒字。営業CFは+500万円」 5類型のどれに当たるかを、こちらから提示する |
「今期はちょっと厳しくて…」 「売上が落ちたので…」 (原因の分解がない) |
| ② 資金繰り表 | 過去6ヶ月+今後12ヶ月。月々の返済◯万円を差し引いても、月末残高は◯◯万円を下回らないことを示す | 年間の見込みだけ (月次の資金の動きが見えない) |
| ③ 来期の改善計画 | 「◯◯の施策により、売上総利益率を◯%から◯%に改善する」 「不採算取引◯件を整理し、年間◯◯万円の原価を削減する」 金額と期限を書く |
「社員一丸となって頑張ります」 「営業を強化します」 (精神論/数字がない) |
| (参考)投資の回収計画 ※先行投資型の場合 |
投資額◯◯万円/想定される年間の増益◯◯万円/回収まで◯ヶ月 | 「将来的に効果が出る見込みです」 |
構造的な赤字かどうかを判定する、最も簡単な方法です。
売上総利益率 = 売上総利益 ÷ 売上高 × 100
これを、3期分並べます。
・維持されている(例:32% → 31% → 32%)→ 本業の収益力は保たれている。赤字の原因は、本業の外にある可能性が高い
・下がり続けている(例:32% → 27% → 21%)→ 構造的な赤字の疑いが濃い。原価が上がったのか、単価が下がったのか、不採算の取引が混ざったのか。ここを分解しないまま借りると、翌年も同じ結果になります
この1つの指標を3期分並べるだけで、自社の赤字が「一時的なもの」か「構造的なもの」かが、おおよそ見えます。
構造的な赤字を抱えた会社が、ノンバンクから資金を調達できてしまうことがあります。
そして、その1年後に相談に来ます。
「借りたお金は、赤字の穴埋めに消えました。返済だけが残っています」
資金調達は、目的ではありません。手段です。
その資金が何を生むのかを説明できないなら、調達できたこと自体が、次の危機の原因になります。
「借りられるか」ではなく、「借りるべきか」を、先に問うてください。
赤字で融資が通った会社と、通らなかった会社。
決算書の数字は、正直、そこまで違いません。
違ったのは、「説明」です。
通った会社は、審査担当者が聞く前に、赤字の理由を数字で説明していました。
通らなかった会社は、「今期はちょっと厳しくて…」で終わっていました。
金融機関は、「分からないもの」に金を貸せません。
分からないリスクは、否決になるか、金利に乗ります。
説明した分だけ、リスクは減り、判断は変わります。
08赤字でも使える調達手段を、順番に並べる
最後に、実際に何から当たればいいのか。
検討順序を、はっきり示す。
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| 順 | 手段 | コスト(2026年7月時点) | 赤字でも可能性は | スピード |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 支払いの繰り延べ交渉 | 原則ゼロ | 関係ない(借入ではない) | 即日 |
| 2 | 納税の猶予・換価の猶予 | 延滞税の一部免除もあり得る | 関係ない(借入ではない) | 申請から審査あり |
| 3 | 日本政策金融公庫(セーフティネット貸付等) | 基準利率 年3.50〜5.20%(無担保) | 赤字の中身を説明できれば可能性がある | 2〜4週間 |
| 4 | 信用保証協会付き融資 | 銀行金利+保証料 年0.45〜1.90% | 赤字の中身と改善計画次第 | 2〜3ヶ月(制度融資の場合) |
| 5 | 銀行プロパー融資 | 短プラ 2.125%+スプレッド | 債務者区分が下がっていると厳しい | 数週間〜数ヶ月 |
| 6 | ビジネスローン(ノンバンク) | 実質年率 年3.0〜15.0% | 直近の資金の流れを示せれば可能性がある | 審査最短60分〜数日 |
| 7 | ファクタリング(債権譲渡) | 手数料 数%〜十数%(1回あたり) | 売掛先の信用力が中心(※各社の審査基準による) | 最短30分〜2時間 |
出典:日本政策金融公庫「金利情報」/日本銀行「長・短期プライムレート推移」
この順序を、飛ばさないでほしい。
1から順に当たる。
いきなり7に行くと、コストが10倍変わる。
税金・社会保険料の滞納がある場合は、「借りて払う」前に「猶予を申請する」。
その手順は税金・社会保険料を滞納すると融資はどうなるか|「換価の猶予」を先に使うに比較表で書いた。
公的支援の全体像はノンバンクの前に使うべき公的支援|セーフティネット貸付・保証協会・納税の猶予。
そして、そもそもビジネスローンとは(銀行融資・日本政策金融公庫との違い)を押さえておくと、どこに申し込むべきかが見えてくる。
- ①営業キャッシュフローを計算する(3分)。税引後当期純利益 + 減価償却費。プラスなら、事業は現金を生んでいます。
- ②売上総利益率を3期分並べる(10分)。下がり続けているなら、構造的な赤字です。借入では解決しません。
- ③債務償還年数を計算する(3分)。有利子負債 ÷(営業利益+減価償却費)。10年を超えていないか。
この3つの数字が揃えば、自社の赤字が5類型のどれに当たるか、ほぼ判定できます。
そして、この3つの数字を持って窓口に行くだけで、話の通り方が変わります。電卓と決算書があれば、今日、終わります。
09売掛先の信用力で審査される、という道
最後の選択肢について、公平に書く。
ファクタリングは、売掛先の信用力を中心に審査される。
だから、自社が赤字でも利用できる場合がある。
(※各社の審査基準によります。)
これは、ビジネスローンには真似できない性質だ。
融資は「自社が返せるか」を見る。
ファクタリングは「売掛先が払うか」を見る。
見ている相手が、違う。
——ただし。
手数料は、融資の金利より高い。
同じ100万円を30日。
年15%のビジネスローンなら利息は約12,300円。
手数料10%のファクタリングなら100,000円。
約8倍だ。
(手数料10%・支払サイト30日を年率換算すると約135%相当になる。ただしこれは金利ではなく、比較のための参考値だ。ファクタリングは債権の売買であり、貸付けではないため、利息制限法・出資法の上限金利は直接には適用されない。)
だから、順序が大事なのだ。
公的融資を先に当たる。
それでも足りないときに、ファクタリングを検討する。
逆にしてはいけない。
コストの実額比較はファクタリングとビジネスローンの違い(同じ100万円でコストは10倍変わる)で条件別に出した。
そして、そもそもファクタリングとは何かはファクタリングとは|金融庁の定義から、債権譲渡の仕組みをゼロから解説するに民法466条から書いている。
「赤字でも使える」という言葉だけを聞いて飛びつかないでほしい。
仕組みを理解してから、使う。
FAQよくある質問
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まとめ
赤字決算で、融資は受けられるのか。
答えは、「赤字の中身による」だ。
赤字は5つに分かれる。
①先行投資型②一過性③構造的④粉飾の裏返し⑤節税型
①②⑤は、説明できれば通ることがある。
③は、厳しい。
④は、致命的だ。
そして——
通る赤字と通らない赤字を分ける、唯一の基準がある。
営業キャッシュフローが、プラスか、マイナスか。
税引後当期純利益 +減価償却費。
これだけで概算できる。
3分で終わる。
当期純利益が▲300万円でも、減価償却費が800万円あれば、営業CFは+500万円。
損益計算書は赤字。だが、現金は増えている。
返済原資は、ある。
この2行を書けるかどうかで、同じ赤字決算でも結論が変わる。
——最後に、一つだけ言っておきたい。
審査担当者は、「分からないもの」に金を貸せない。
分からないリスクは、否決になるか、金利に乗る。
説明した分だけ、リスクは減る。
決算書の最終行を見てうつむく前に、
電卓を出して、営業キャッシュフローを計算してほしい。
まだ、終わっていない。
・日本政策金融公庫「金利情報」
・日本銀行「長・短期プライムレート推移」
・中小企業庁(中小企業活性化協議会・経営改善計画策定支援事業)
・e-Gov 法令検索「貸金業法」
・金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」
・金融庁「登録貸金業者情報検索サービス」
・帝国データバンク「全国企業倒産集計 2026年上半期報」(倒産5,335件/前年同期比+6.6%/売掛金回収難による倒産32件・+128.6%)
相談窓口
金融庁 金融サービス利用者相談室:0570-016811/日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター:0570-051051/警察相談専用電話:#9110
監修:黒岩 智之(くろいわ ともゆき)
事業再生コンサルタント/中小企業の資金調達支援18年。地方銀行の融資審査部に9年在籍後、独立。これまで1,200社超の資金繰り相談に対応。建設・運送・医療介護分野の資金調達を専門とする。

