ビジネスローンの審査基準|銀行が付ける「債務者区分」5段階から逆算する
この記事の結論
- ビジネスローンの審査を理解するには、その手前にある金融機関の「債務者区分」5段階を知る必要がある。正常先/要注意先/要管理先/破綻懸念先/実質破綻先。銀行は、すべての取引先にこの札を付けている。
- 区分を分ける最大の指標が債務償還年数=有利子負債 ÷(営業利益+減価償却費)。10年を超えると危険水域、20年を超えると銀行はほぼ動かない。まず自社で計算してほしい。
- ノンバンクのビジネスローンは、銀行より審査が速い。だが「甘い」わけではない。見る場所が違うだけだ。銀行が3年分を見るのに対し、ノンバンクは直近の資金の流れを見る。
- 審査に落ちた事業者が共通して見落としていた数字は3つ。①信用情報の「異動」 ②短期間の多重申込(申込情報の蓄積) ③税金・社会保険料の納付状況。いずれも、申し込む前に自分で確認できる。
- この記事に「審査に通る裏技」は書かない。書けることは一つだけ。審査に足る会社になるために、今日から何ができるかである。
融資を申し込む。
決算書を出す。
数日後、「今回は見送らせていただきます」と言われる。
理由は、教えてもらえない。
貸金業者にも銀行にも、否決理由を説明する義務はない。
だから多くの事業者は、何が悪かったのか分からないまま、次の会社に申し込む。
そして、また落ちる。
——この繰り返しが、最悪の結果を生む。
短期間に何社も申し込むと、その申込記録自体が審査を不利にする。
ここに、この記事の出発点がある。
審査の「中身」を知らないまま動くと、傷が増える。
では、審査の中身とは何か。
多くの記事は「決算書」「信用情報」「業歴」と並べて終わる。
だが、その手前にある決定的な仕組みを書いた記事がない。
債務者区分。
金融機関は、すべての融資先に5段階の札を内部で付けている。
正常先。要注意先。要管理先。破綻懸念先。実質破綻先。
この札が、融資が出るか否かを、金利が何%になるかを、ほとんど決めている。
そして、この札を分けている指標が
債務償還年数だ。
有利子負債 ÷(営業利益+減価償却費)
これが10年を超えたら、危険水域。
——自社の数字で、いま計算できるだろうか。
この記事では、5段階のピラミッドを描き、自社がどこにいるかを自己診断してもらう。
そのうえで、審査に落ちた事業者が共通して見落としていた3つの数字を書く。
最後に、はっきり書いておく。
「審査に通る裏技」は、この記事には書かない。
そんなものは存在しないし、存在すると言う人がいたら、その人を疑ってほしい。
書けるのは、審査に足る会社になるための道筋だけだ。
目次
01審査は「点数」ではなく「区分」で動いている
ビジネスローンの審査基準を知りたい——
そう思って検索すると、だいたい同じことが書いてある。
「業歴2年以上」「黒字決算」「税金の未納がないこと」
間違ってはいない。
だが、これは審査の「結果として現れる条件」であって、審査の「仕組み」ではない。
私は地方銀行の融資審査部に9年いた。
そこで毎日やっていたのは、融資先に「区分」を付ける作業だった。
金融検査マニュアルは2019年12月に廃止されたが、自己査定と債務者区分という実務の骨格は、いまも各行に残っている。
なぜなら、貸倒引当金をいくら積むかを決めるために、この区分が必要だからだ。
区分が下がれば、銀行は引当金を積み増す。
引当金は、銀行の利益を削る。
だから銀行は、区分が下がりそうな先に新規融資を出したがらない。
これが、「なぜ融資が出ないのか」の最も根本的な答えだ。
審査担当者の気分でも、決算書の見栄えでもない。
引当金の話だ。
- 金融庁の「金融検査マニュアル」は2019年12月に廃止されました。
- ただし、廃止されたのは「画一的な検査の物差し」であって、金融機関が自ら債務者を査定し、引当金を計上する実務そのものは残っています。
- むしろ現在は、各行が事業の将来性・実態を踏まえた独自の判断を行う方向に進んでいます。形式的な区分だけで機械的に決まるわけではありません。
- とはいえ、債務者区分という考え方の枠組みは、いまも実務の共通言語です。自社がどう見られているかを知る出発点として、これ以上に有効な地図はありません。
※本記事の区分の説明は、実務上一般に用いられている考え方を整理したものです。実際の運用は各金融機関の内部基準により異なります。
02債務者区分5段階のピラミッド
まず、全体像を見てほしい。
上から順に、正常先/要注意先/要管理先/破綻懸念先/実質破綻先。
下に行くほど、融資は出にくくなり、金利は上がる。
この図を見て、多くの経営者はこう思うはずだ。
「うちは、どこだ?」
その問いが正しい。
審査対策の第一歩は、自社の現在地を知ることだ。
現在地が分からないまま申し込むから、落ちる。
そして、落ちた理由が分からないから、また同じ状態で申し込む。
この悪循環を断つ。
03自己診断:自社はどの区分にいるのか
実務で使われている判断材料を、表に落とす。
自社の決算書を横に置いて、読んでほしい。
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| 区分 | 財務の状態 | 延滞の有無 | 債務償還年数の目安 | 資金調達の現実 |
|---|---|---|---|---|
| 正常先 | 黒字。債務超過なし。自己資本比率もプラス | なし | 10年以内 | 銀行プロパー融資が出る。金利は最も低い |
| 要注意先 | 赤字、または債務超過。業況が低調・不安定 | なし(または軽微) | 10〜20年 | 保証協会付きが中心。新規プロパーは慎重になる |
| 要管理先 | 要注意先のうち、条件緩和や延滞がある先 | 3ヶ月以上の延滞 または貸出条件緩和(リスケ) |
20年超 | 新規融資はほぼ止まる。既存の返済管理が中心に |
| 破綻懸念先 | 大幅な債務超過が継続。経営改善計画の進捗も不良 | 延滞あり | 実質的に算定不能 | 新規融資は出ない。再生か清算かの局面 |
| 実質破綻先 /破綻先 |
再建の見通しがない。法的整理の申立て等 | 長期延滞 | - | - |
赤字だからといって、自動的に要注意先に落ちるわけではありません。
見られているのは、赤字の「中身」と「継続性」です。
- 設備投資による先行投資型の赤字で、営業キャッシュフローがプラスなら、正常先に留まることがあります。
- 逆に、営業赤字が継続しており、売上総利益率が崩れているなら、区分は下がります。
- 単年度の一過性赤字(災害・大口貸倒れ・特別損失)は、説明できれば区分に大きく響かないことがあります。
赤字の5類型と、通る赤字・通らない赤字の分岐は赤字決算でも融資は受けられるのか|赤字の「中身」で結論は変わるで分解しました。
04債務償還年数10年ルール(計算してみる)
区分を分ける最大の指標が、これだ。
債務償還年数。
意味はシンプルで、
「いまの稼ぐ力で、借金を全部返すのに何年かかるか」
これだけだ。
実際に、2社で計算してみる
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| 項目 | A社(建設・年商2億円) | B社(運送・年商1.8億円) |
|---|---|---|
| 有利子負債 | 1億円 | 1億5,000万円 |
| 営業利益 | 800万円 | 500万円 |
| 減価償却費 | 400万円 | 300万円 |
| 返済原資(営業利益+減価償却費) | 1,200万円 | 800万円 |
| 債務償還年数 | 約8.3年 | 約18.8年 |
| 銀行の見方 | 正常圏。プロパー融資の余地あり | 危険水域。新規プロパーは厳しい |
決算書を開いて、次の3つの数字を拾ってください。
①有利子負債= 短期借入金 + 長期借入金 + 社債(+役員借入金を含める場合もあります)
②営業利益= 損益計算書の営業利益
③減価償却費= 販管費または製造原価の減価償却費
① ÷(② + ③)
これが自社の債務償還年数です。
10年以内なら、正常圏。
10〜20年なら、警戒。
20年超なら、銀行のプロパー融資は現実的ではありません。
そして、②+③がマイナスなら、計算する必要はありません。いまの事業から、借金を返す原資が生まれていないということです。この状態で新たに借りると、返済が返済を呼ぶ構造に入ります。
この計算が示すのは、残酷なほど単純な事実だ。
借金は、利益と減価償却費でしか返せない。
売上ではない。
利益だ。
年商2億円でも、営業利益が800万円なら、返済原資は(減価償却400万円と合わせて)年1,200万円しかない。
1億円の借入は、8年3ヶ月かけないと返せない。
ここに、さらに借入を積む。
すると、分子が増え、債務償還年数が延びる。
延びれば、区分が下がる。
区分が下がれば、次の融資は出ない。
出ないから、ノンバンクに行く。
これが、資金繰り悪化の標準的な進行経路だ。
その先で何が起きるかは融資を断られた直後が、一番危ない(多重債務への転落ルート)で可視化した。
そして、返済がどうしても回らないなら、借りるより先にリスケ(返済条件変更)の全手順|中小企業活性化協議会と405事業を検討してほしい。
ただし、リスケをすると「要管理先」に落ちる。
そのトレードオフも、記事に書いた。
05ノンバンクは「甘い」のではなく、見る場所が違う
ここで、検索需要の大きい言葉に正面から答える。
「ビジネスローンは審査が甘いのか」
答えは、「甘くはない。見る場所が違う」だ。
銀行とノンバンクでは、審査の設計思想が根本的に異なる。
この違いを、一行にまとめる。
銀行は「3年後」を見る。
ノンバンクは「来月」を見る。
だから、銀行に断られた会社でも、ノンバンクなら通ることがある。
それは「甘い」からではなく、問いが違うからだ。
3年後の存続は怪しいが、来月の入金は確実——
そういう会社は、実在する。
逆に、こういう会社はノンバンクでも通らない。
・通帳に入金の履歴がない・売掛金の実在が確認できない・代表者の信用情報に異動がある・税金を長期に滞納している
「甘い審査」を探す行動には、別の危険もある。
審査を行わないかのような表示をうたう業者は、そもそも登録貸金業者ではない可能性が高い。
その理由と見分け方は即日融資のビジネスローン(広告文言から違法業者を判別する)で法令から解説した。
そして、金利の実額はビジネスローンの金利|100万・500万を借りたら総額いくら返すのかで全パターン計算している。
速さの代金を、先に知っておいてほしい。
商号:アクト・ウィル株式会社/登録番号:東京都知事(5)第31521号/実質年率:年3.00%〜年15.00%/遅延損害金:年20.00%(利息制限法7条の上限)/返済方式:元利均等返済ほか(契約により異なります)/返済期間・返済回数:契約により異なります/担保・保証人:契約内容により必要となる場合があります/ご利用にあたっては審査があります。
※お申込みの時間帯・審査状況により、翌営業日以降となる場合があります。※記載の条件は2026年7月時点の同社公表値です。登録番号は金融庁「登録貸金業者情報検索サービス」で照合できます。
申込先ごとに、求められる書類が違う
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| 提出資料 | 銀行・信用金庫 | 日本政策金融公庫 | ノンバンク(ビジネスローン) |
|---|---|---|---|
| 決算書 | 3期分 | 2〜3期分 | 直近の損益計算書ほか(一部で足りる場合がある) |
| 試算表 | 直近月まで | 直近月まで | 求められる場合がある |
| 資金繰り表 | 必須に近い(過去+今後12ヶ月) | 必須に近い | あれば有利 |
| 事業計画書 | 必須に近い | 必須に近い | 求められる場合がある |
| 売掛金・買掛金の内訳書 | 必要 | 必要 | 重視される |
| 通帳・入出金明細 | 必要に応じて | 必要 | 重視される(直近の資金の流れ) |
| 納税証明書 | 必要 | 必須 | 求められる場合がある |
| 代表者の本人確認書類 | 必要 | 必要 | 必要 |
| 審査期間の目安 | 数週間〜数ヶ月 | 2〜4週間 | 最短60分〜数日 |
銀行・公庫の審査で、資金繰り表は事実上の必須書類です。それでも、持っていない会社が半数近くあります。
そして、持っていない会社ほど、「なぜ落ちたのか分からない」と言います。
貸し手の立場で考えてください。「毎月いくら現金が入り、いくら出て、月末にいくら残るのか」を、その会社自身が把握していない。
この会社に、返済計画を語る資格があるでしょうか。
資金繰り表は、審査のために作る書類ではありません。自社を守るために作る書類です。結果として、審査にも効きます。
作り方は資金繰り表の作り方|銀行に出す月次表と、自分を守る日繰り表は別物に、記入例つきで書きました。
06落ちた人が見落としていた3つの数字
18年、資金調達の現場にいて、審査に落ちた事業者から何度も同じ話を聞いた。
「決算は黒字だったのに、落ちました」
そういうとき、たいてい原因は決算書の外にある。
3つある。
共通して、本人が見ていなかった。
①信用情報の「異動」
信用情報機関には、CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センターがある。
ビジネスローンの多くは、代表者個人の信用情報を照会する。
法人融資なのに、なぜ個人の情報を見るのか。
代表者が連帯保証人になるからだ。
そして、代表者個人の返済習慣は、法人の返済習慣を予測する材料になる——
貸し手はそう考える。
異動情報(いわゆる事故情報)が登録されていると、審査は一気に厳しくなる。
登録される主なケース。
・61日以上、または3ヶ月以上の延滞・代位弁済(保証会社が肩代わりした)・債務整理・強制解約
問題は——
本人が、登録されていることを知らないケースが多いことだ。
数年前のクレジットカードの支払い忘れ。
引き落とし口座の残高不足。
「うっかり」が記録に残っている。
- CIC(割賦販売・クレジット系):インターネットで開示請求ができます。手数料は数百円程度。
- JICC(消費者金融・信販系):スマートフォンのアプリ等から開示請求ができます。
- 全国銀行個人信用情報センター(銀行・保証協会系):郵送で開示請求ができます。
3社とも取り寄せて、異動情報の有無を確認してください。これは数日で終わります。
自分の情報を知らないまま何社にも申し込むのは、目隠しで走るのと同じです。
※開示請求の方法・手数料は各機関の公式サイトで最新の情報をご確認ください。開示請求をしたこと自体が、審査に不利に働くことはありません。
②短期間の多重申込(申込情報の蓄積)
これが、最も見落とされている。
申し込むと、「申し込んだ」という事実が信用情報に記録される。
審査に通ったか落ちたかに関係なく、照会日から約6ヶ月間、記録は残る。
つまり——
1ヶ月に5社申し込んで全部落ちた人が6社目に申し込むと、6社目には「この人は直近1ヶ月で5社に申し込んでいる」という事実が見えている。
貸し手はこう読む。
「相当、資金繰りに窮している」
「他社が全部断ったのには、理由があるのではないか」
申込記録そのものが、否決材料になる。
これを俗に「申込ブラック」と呼ぶ。
本人が、自分の手で作ってしまう状態だ。
③税金・社会保険料の納付状況
3つ目が、これだ。
税金と社会保険料。
そして、ほとんどの記事が「税金」しか書いていない。
だが実務で多いのは、社会保険料(厚生年金・健康保険料)の滞納のほうだ。
厚生年金保険料は、毎月の負担が重い。
資金繰りが苦しくなると、まず社会保険料の納付が後回しになる。
そして——
年金事務所は、督促のあとに滞納処分(差押え)を行う権限を持っている。
差押えが入ると、銀行融資は事実上、止まる。
売掛金を差し押さえられれば、ファクタリングも使えない。
「借りて払う」という発想の前にやるべきことがある。
納税の猶予・換価の猶予だ。
制度の使い方は税金・社会保険料を滞納すると融資はどうなるか|「換価の猶予」を先に使うで比較表にまとめた。
延滞税の年率と、それより高い金利で納税資金を借りることの非合理性も、数字で示している。
先に読んでほしい。
07代表者個人の信用情報(CIC・JICC)
法人の融資審査で、なぜ代表者個人の信用情報が見られるのか。
理由を、もう一度整理する。
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| 信用情報機関 | 主に加盟している業態 | ビジネスローン審査での意味 |
|---|---|---|
| CIC | クレジットカード会社・信販会社・一部の貸金業者 | クレジットの支払状況が分かる。「異動」の有無が最も見られる |
| JICC | 消費者金融・信販・一部の銀行系 | 他社借入の件数・残高が分かる。多重申込の記録も残る |
| 全国銀行個人信用情報センター | 銀行・信用金庫・信用保証協会 | 代位弁済の記録が残る。保証協会付き融資の審査で見られる |
- 実態のない役員を立てて申し込む行為は、審査を欺く行為です。
- 事実と異なる申告をして融資を受ければ、詐欺に問われる可能性があります。
- 発覚すれば、期限の利益を喪失し、残債の一括請求を受けます。
- そして、その情報は業界内で共有され、正当な資金調達の道も閉ざされます。
この記事は、審査を通すための小細工を教えるものではありません。信用情報に異動があるなら、まずその事実を確認し、そのうえで、いま使える制度(公的支援・猶予制度・リスケ)から検討してください。
その順序はノンバンクの前に使うべき公的支援|セーフティネット貸付・保証協会・納税の猶予に整理しました。
08他社借入と総量規制の、正しい理解
ここは、間違えている記事が非常に多いところだ。
正確に書く。
- 法人向け貸付けは、総量規制の対象外です。貸金業法13条の2は「個人顧客」に関する規定だからです。法人が年収の3分の1で縛られることはありません。
- 個人事業主の事業性資金は、「除外」ではなく「例外」貸付けです(貸金業法施行規則10条の23)。ここを取り違えている記事が非常に多い。
- 「例外」なので、借入残高には算入されます。「除外」なら残高に算入されませんが、事業性資金は「例外」です。
- 事業計画・収支計画・資金計画により返済能力が認められれば、年収の3分の1を超える借入も可能です。
- 借入額100万円以下なら、事業計画等の提出に代えて、事業・収支・資金繰りの状況が確認できる書面で足ります。
総量規制の対象外だからいくらでも借りられる——
そういう話ではない。
法定の枠がないだけで、各社は独自の与信枠を設けている。
そして、他社借入が多いほど、その枠は狭くなる。
見られているのは「件数」と「残高」の両方だ。
とくに件数が効く。
同じ1,000万円の借入でも、
1社から1,000万円と5社から200万円ずつでは、後者のほうが警戒される。
理由は明白だ。
5社に分かれているということは、1社が「これ以上は出せない」と判断したということだから。
借入の分散は、それ自体がシグナルになる。
09審査に足る会社になるために、今日からできること
最後に、はっきり書く。
この記事には「審査に通る裏技」を書かない。
理由は3つある。
①存在しないから。
②存在すると言う人は、別のもの(違法な業者)を売ろうとしているから。
③小細工で通した融資は、返済で苦しむことになるから。
代わりに、書けることがある。
審査に足る会社になるための、具体的な手順だ。
とくにステップ4を強調しておきたい。
審査担当者が最も知りたいのは、「この会社は、何で返すのか」だ。
「売上が伸びるから返せます」
——これでは、弱い。
「月次の営業キャッシュフローは平均◯◯万円。月々の返済◯万円を差し引いても、月末残高は◯◯万円を下回りません」
ここまで書かれた資料を、私は年に数回しか見ない。
そして、これを出す会社は、同じ財務内容でも審査の通り方が変わる。
理由は単純だ。
貸し手にとっての不確実性が下がるから。
見えないリスクは、価格に乗るか、否決になる。
見せた分だけ、価格からも、否決からも、降りていく。
資金繰り表の作り方は資金繰り表の作り方|銀行に出す月次表と、自分を守る日繰り表は別物に記入例つきで書いた。
これを1枚作るところから、審査対策は始まる。
そして、そもそもビジネスローンとは(銀行融資・日本政策金融公庫との違い)を押さえてから申込先を選んでほしい。
どこに申し込むかを間違えると、どんなに準備しても通らない。
FAQよくある質問
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まとめ
ビジネスローンの審査基準は、「業歴2年以上」「黒字決算」という表面的な条件では説明できない。
その手前に、債務者区分という仕組みがある。
正常先。要注意先。要管理先。破綻懸念先。実質破綻先。
区分が下がれば、銀行は引当金を積み増す。
引当金は、利益を削る。
だから、区分が下がりそうな先に、新規融資は出ない。
そして、区分を分けるのが
債務償還年数 =有利子負債 ÷(営業利益+減価償却費)
10年を超えたら、危険水域。
——まず、これを計算してほしい。
そのうえで、審査に落ちた事業者が共通して見落としていた3つの数字を確認する。
①信用情報の「異動」②短期間の多重申込③税金・社会保険料の納付状況
この3つは、すべて申し込む前に、自分で確認できる。
確認せずに申し込むから、①を知らずに落ち、②を自分の手で作り、③で止められる。
最後に、もう一度書く。
「審査に通る裏技」は、存在しない。
存在すると言う人がいたら、その人を疑ってほしい。
できるのは、審査に足る会社になることだけだ。
そして、それは今日から始められる。
電卓を出して、決算書を開くところから。
・e-Gov 法令検索「貸金業法」
・日本貸金業協会「総量規制が適用されない場合について」
・日本貸金業協会「上限金利について」
・金融庁「登録貸金業者情報検索サービス」
・日本銀行「長・短期プライムレート推移」
・日本政策金融公庫「金利情報」
・中小企業庁
・金融検査マニュアル(2019年12月廃止)における債務者区分の考え方を、実務上の整理として参照
相談窓口
金融庁 金融サービス利用者相談室:0570-016811/日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター:0570-051051/警察相談専用電話:#9110
監修:黒岩 智之(くろいわ ともゆき)
事業再生コンサルタント/中小企業の資金調達支援18年。地方銀行の融資審査部に9年在籍後、独立。これまで1,200社超の資金繰り相談に対応。建設・運送・医療介護分野の資金調達を専門とする。

