創業融資|自己資金・見せ金・創業計画書の実務
この記事の結論
- 創業融資の中心は、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」。融資限度額は7,200万円、返済期間は設備20年以内・運転10年以内(いずれも据置期間5年以内)。対象は新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方。
- 2024年3月に旧「新創業融資制度」が廃止され、制度上の一律の自己資金要件は撤廃された。だが、審査で自己資金を見なくなったわけではない。
- 審査で見られているのは、自己資金の「金額」ではない。「形成過程」だ。通帳に、毎月コツコツ積み立てた履歴が残っているか。ここを見ている。
- いわゆる「見せ金」は、通帳の履歴でほぼ分かる。直前に一括で入った大口入金は、必ず出所を聞かれる。説明できなければ、自己資金として認められない。
- 創業融資に落ちた人が共通して見落としているのは、①自己資金の形成過程 ②自分の生活費 ③損益分岐点売上高——この3つの数字である。
創業融資の面談で、公庫の担当者が最初に手に取るもの。
それは、事業計画書ではない。
通帳だ。
そして、ページをゆっくりめくっていく。
半年分。1年分。
何を見ているのか。
残高ではない。
履歴だ。
毎月、いくら入って、いくら出て、いくら残ったか。
その積み重ねを、見ている。
——ここで、ある種の申込人は、静かに落ちる。
審査の直前に、300万円がどんと入金されている。
担当者は、聞く。
「この入金は、何ですか」
これが、いわゆる「見せ金」がバレる瞬間だ。
派手な調査があるわけではない。
通帳を、めくるだけだ。
——この記事では、まず見せ金がなぜバレるのかを、通帳の履歴から具体的に説明する。
次に、創業融資に落ちた人が共通して見落としていた3つの数字を出す。
そして、創業計画書の書き方を実務レベルで整理する。
「自己資金をコツコツ貯めてこなかった」
——この理由で断られた人を、私は何人も見てきた。
その言葉の意味を、これから正確に説明する。
目次
01創業融資の全体像|どこから借りるのか
創業時に、借りられる先は限られている。
実績がないからだ。
決算書がない。取引実績がない。返済実績もない。
貸し手にとって、判断材料がほとんど存在しない。
だから、創業融資は「公的な仕組み」が中心になる。
整理する。
創業に補助金を使いたい——という相談は非常に多いのですが、注意が必要です。
補助金は精算払い(後払い)です。事業を完了し、実績報告を出し、確定検査を通ってから入金されます。つまり、補助金をもらうために、先に全額を自己資金で支払う必要があります。
さらに、消費税は原則として補助対象外です。
「補助金があるから開業できる」——この計画は、成り立ちません。
詳しくは補助金・助成金は「後払い」だから、先に金が要る(つなぎ資金の落とし穴)で、精算払いのタイムラインを図解しています。
02新規開業・スタートアップ支援資金の中身
中心となるのは、これだ。
日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」
旧「新規開業資金」にあたる制度だ。
公表されている条件を整理する。
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| 項目 | 内容(2026年7月時点の公表情報) |
|---|---|
| 利用できる方 | 新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方 ※「新たに営もうとする事業について、適正な事業計画を策定しており、当該計画を遂行する能力が十分あると認められる方」に限られます |
| 資金の使いみち | 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金 |
| 融資限度額 | 7,200万円 |
| 返済期間(設備資金) | 20年以内(うち据置期間5年以内) |
| 返済期間(運転資金) | 10年以内(うち据置期間5年以内) |
| 利率 | 基準利率。ただし、女性の方、35歳未満または55歳以上の方など、一定の要件に該当する場合は特別利率が適用されます |
| 担保・保証人 | 希望を伺いながら相談。経営者保証免除特例制度との併用が可能 |
| 提出書類 | 創業計画書の提出等により、事業計画の内容が確認されます |
据置期間とは、元金の返済を待ってもらい、利息だけを支払う期間のことです。
創業直後は、売上が立つまでに時間がかかります。この期間に元金の返済まで背負うと、資金繰りが持ちません。
据置期間を使えば、その間の返済負担は利息だけになります。
ただし——据置期間が終われば、元金の返済が始まります。しかも、返済期間の残りが短くなっている分、毎月の元金返済額は大きくなります。
「据置期間があるから安心」ではありません。「据置期間が終わった月から、いくら返すのか」を、先に計算しておいてください。
03自己資金要件は撤廃された。だが、なくなっていない
ここは、正確に書く必要がある。
2024年3月に、旧「新創業融資制度」が廃止された。
この制度には、「創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できること」という要件があった。
その要件が、制度としては撤廃された。
——だから、インターネット上にはこういう記事が並ぶ。
「自己資金ゼロでも創業融資が受けられる」
これは、半分だけ正しい。
制度上の要件としては、撤廃された。
しかし、審査で自己資金を見なくなったわけではない。
むしろ、逆だ。
一律の数値基準がなくなった分、「その人が、どういう人か」を自己資金の履歴から読み取る比重が上がった——
私は、そう見ている。
なぜ、自己資金の履歴がこれほど重視されるのか。
理由は、単純だ。
貸し手が知りたいのは、「この人は返すか」だ。
では、返す人と返さない人を、何で見分けるのか。
決算書はない。返済実績もない。
残っているのは、その人が過去に何をしてきたか、だけだ。
毎月、給料が入るたびに、一定額を別の口座に移す。
それを、2年、3年と続ける。
この行動が意味するのは——
「計画を立て、実行し、継続できる人である」
ということだ。
返済も、同じ行為だ。
毎月、一定額を、決まった日に払い続ける。
積立ができる人は、返済もできる。
貸し手は、そう読む。
だから、通帳を見る。
金額ではなく、履歴を。
貸し手が何を見ているかの一般的な構造はビジネスローンの審査基準|債務者区分5段階から逆算するに書いた。
創業融資も、根っこは同じだ。
04見せ金は、なぜバレるのか【通帳の履歴】
ここが、この記事の核心だ。
「見せ金」とは、審査を通すために一時的に用意した資金のことだ。
親族や知人から借りて、口座に入金する。
審査が終わったら、返す。
これは、なぜバレるのか。
答えは、「通帳を見れば、分かるから」だ。
それだけだ。
特別な調査は要らない。
図にする。
- まず、事実として「バレます」。通帳の提出は必須であり、直近の履歴を確認されます。突然の大口入金は、必ず出所を問われます。
- 次に、説明できなければ、自己資金として算入されません。結果として、審査上の自己資金はゼロと評価されうる。
- そして、最も重いのはここです。審査を通すために事実と異なる説明をすれば、それは虚偽の申告です。金融機関を欺いて融資を受ければ、詐欺罪に問われるおそれがあります。
- さらに、その後の取引が終わります。公庫は創業期だけの相手ではありません。事業が伸びれば、追加融資も、他の制度も使う相手です。最初の一回で信頼を失うことの損失は、金額に換算できません。
- 結論:やらないでください。これは道徳の話ではなく、合理性の話です。割に合わない。
05自己資金として認められるもの/認められないもの
では、何が自己資金になるのか。
整理する。
なお、個別の取扱いは公庫の判断によります。
必ず、事前に支店に確認してください。
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| 資金の性質 | 自己資金として 認められるか |
必要な説明・書類 |
|---|---|---|
| 毎月コツコツ積み立てた預金 | 認められる(最も強い) | 通帳の履歴そのものが証拠になる |
| 退職金 | 認められる可能性が高い | 退職金の支給明細等 |
| 親族からの贈与 | 認められる可能性がある | 贈与契約書など、返済義務がないことを示す書類 |
| すでに支払済みの開業準備費用 | 「みなし自己資金」として算入されうる | 領収書・契約書(何にいくら払ったか) |
| 現物出資(事業用の資産) | 認められる可能性がある | 評価の根拠となる資料 |
| 親族からの借入 | 認められない | 返済義務があるため、自己資金ではなく負債です |
| 他の金融機関からの借入 | 認められない | 同上。かつ、借入があること自体が審査でマイナスに働きます |
| 出所を説明できない資金 | 認められないことがある | いわゆる「タンス預金」も、出所の説明を求められます |
創業の準備として、すでに支払ってしまったお金があるはずです。
店舗の契約金、内装工事の着手金、機材の購入、ホームページの制作費、開業に向けた研修費用——。
これらは「すでに事業に投下した自己資金」として、算入できる可能性があります。
そのためには、領収書・契約書・振込控えを、すべて保管しておくこと。
「通帳の残高が減ってしまった」と落ち込む必要はありません。減った理由が、事業への投資であれば、それは自己資金の一部です。
ただし、算入の可否は公庫の判断によります。事前に相談してください。
商号:アクト・ウィル株式会社/登録番号:東京都知事(5)第31521号
実質年率:年3.00%〜年15.00%/遅延損害金:年20.00%(実質年率)
融資額:300万円〜1億円/対象:法人のみ(個人事業主は対象外)/返済方式・返済期間・返済回数は契約内容により異なります/担保・保証人:案件により必要となる場合があります
※お申込みには審査があります。審査の結果、ご希望に沿えない場合があります。
※登録番号は金融庁「登録貸金業者情報検索サービス」で照合できます。
※条件は2026年7月時点の同社公表値です。借入は返済義務を伴います。金利は日本政策金融公庫より高くなります。まず公的融資を検討してください。
06落ちた人が見落としていた3つの数字
ここからは、逆算で書く。
創業融資に落ちた人を、私は多く見てきた。
その人たちに共通していたことがある。
3つの数字を、持っていなかった。
売上の予測は、ほとんどの人が持っている。
だが、この3つを出せる人は、少ない。
数字2:自分の生活費を、なぜ聞かれるのか
これは、意外に思われることが多い。
「事業の融資なのに、なぜ私の生活費を聞くのか」
理由は、こうだ。
個人事業なら、事業の利益から生活費を引いた残りが、返済原資になる。
法人でも、役員報酬を払うのだから、同じことだ。
つまり——
生活費が月40万円必要な人と、月20万円で回せる人では、必要な利益がまったく違う。
生活費を出さずに立てた返済計画は、計画ではない。
ここを聞かれて即答できないと、「この人は、自分の事業を金の流れで理解していない」と読まれる。
それが、致命的だ。
数字3:損益分岐点売上高
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| 項目 | 金額(例) | 説明 |
|---|---|---|
| 月の固定費(家賃・人件費・光熱費等) | 500,000円 | 売上がゼロでも出ていく費用 |
| 自分の生活費(役員報酬・生活費) | 300,000円 | ここを忘れる人が多い |
| 公庫への月返済額 | 100,000円 | 据置期間が終わったあとの金額で計算する |
| 毎月、必ず出ていく金額 | 900,000円 | — |
| 粗利率(想定) | 40% | 売上に対する粗利益の割合 |
| 損益分岐点売上高(月) | 2,250,000円 | 900,000円 ÷ 40% = 225万円 |
| 1日あたりの必要売上(月25日営業) | 90,000円 | ここまで落とし込むと、現実味が測れる |
月225万円と言われても、多いのか少ないのか、感覚がつかめません。
ですが、「1日9万円」まで落とすと、急に現実味を帯びます。
客単価3,000円なら、1日30人。客単価1万円なら、1日9人。
「その人数は、本当に来るのか」——ここまで来て、はじめて計画の検証が始まります。
面談でこの数字を出せる人は、強い。数字が、そのまま事業への理解の深さを示しているからです。
月次の資金の動きを表にする方法は資金繰り表の作り方(銀行に出す月次表と、自分を守る日繰り表)で解説しています。創業前から作ってください。
07創業計画書|8項目の書き方
公庫の創業計画書には、記入する項目が決まっている。
それぞれの項目で、何が見られているのか。
貸し手の目線で書き直す。
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| # | 項目 | 本当に見られていること | 書き方のポイント |
|---|---|---|---|
| 1 | 創業の動機 | 思いつきか、準備してきたか | 「いつから準備し、何をしてきたか」を時系列で書く |
| 2 | 経営者の略歴 | 最重要。同業種での経験年数 | その業界で何年働き、何ができるようになったかを具体的に。未経験なら、それを補う根拠を示す |
| 3 | 取扱商品・サービス | 何で、いくらの利益を取るのか | 売価と原価を書く。粗利率を明示する |
| 4 | 取引先・取引関係等 | 売上の当てがあるか | すでに見込み客・契約予定先があるなら、必ず書く。これは強い材料になる |
| 5 | 従業員 | 人件費の規模と、無理がないか | 雇う予定なら、その人件費を収支計画に反映する |
| 6 | お借入の状況 | 個人の借入・カードローン・リボ払い | 隠さない。信用情報で分かる。正直に書き、返済計画を説明する |
| 7 | 必要な資金と調達方法 | 自己資金の額と、その出所 | 設備資金と運転資金を分けて書く。自己資金の裏付けは通帳 |
| 8 | 事業の見通し | 売上の根拠と、損益分岐点 | 「単価×客数×稼働日数」で積み上げる。願望ではなく、計算にする |
- 個人の借入・クレジットカードのリボ払い・キャッシング・奨学金——これらは、信用情報機関の情報で確認されます。
- 隠しても、分かります。そして、隠したこと自体が、決定的な不信を招きます。
- 借入があること自体は、即座に否決の理由になるとは限りません。正直に申告し、返済計画を説明できれば、話は進みます。
- 致命的なのは、隠すことです。「この人は、都合の悪いことを隠す人だ」——そう評価された時点で、その後の説明は届きません。
- なお、税金・社会保険料の滞納がある場合も、正直に申告してください。滞納があると審査は厳しくなりますが、先に「換価の猶予」等の手続きをとることで、道が開けることがあります。詳しくは税金・社会保険料を滞納すると融資はどうなるか(換価の猶予を先に使う)を。
08面談で聞かれること
創業融資には、面談がある。
ここで、計画書に書いたことを「自分の言葉で説明できるか」が試される。
誰かに書いてもらった計画書は、ここで露呈する。
よく聞かれることを並べる。
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| 質問 | 質問の意図 | 準備しておくこと |
|---|---|---|
| この自己資金は、どうやって貯めましたか | 形成過程の確認(=見せ金のチェック) | 通帳を開いて、自分で説明できるようにしておく |
| この業界で、何年働いていましたか | 実行能力の確認 | 職務経歴を、具体的な業務内容とともに話せるように |
| 売上の予測は、どう計算しましたか | 数字が「願望」か「計算」か | 単価×客数×稼働日数で説明する |
| 毎月の生活費は、いくらですか | 返済原資の前提 | 家計を把握しておく。即答する |
| 月いくら売れば、赤字になりませんか | 損益分岐点の理解 | 固定費 ÷ 粗利率 で答える |
| 売上が計画の7割だったら、どうしますか | 最も重要な質問。悲観シナリオへの備え | 「固定費をここまで削る」「この収入で補う」と具体的に答える |
| すでに決まっている取引先はありますか | 売上の確度 | 見込み客・契約予定先があれば、資料を持参する |
この表で、6行目に注目してほしい。
「売上が計画の7割だったら、どうしますか」
この質問に、即答できるかどうか。
ここが、分かれ目だ。
多くの人は、こう答える。
「そうならないように頑張ります」
これは、答えになっていない。
貸し手が知りたいのは、「うまくいかなかったときに、それでも返せるか」だ。
だから、こう答える。
「売上が7割なら、月商は◯円になります。
そのとき、粗利は◯円。
固定費は、◯を削って◯円まで下げられます。
自分の役員報酬を◯円まで落とせば、返済は続けられます。
それでも足りない場合は、◯か月分の預金で持ちこたえます」
これが、答えだ。
この答えを持っている人に、貸し手は安心する。
09申込から入金までのタイムライン
10落ちたときに、やってはいけないこと
最後に、最も大事なことを書く。
創業融資に落ちることは、ある。
そして、落ちた直後が、いちばん危ない。
なぜなら、すでに物件を契約し、内装を発注し、開業日を決めているからだ。
後戻りできない状態で、資金が足りない。
ここで、何をしてしまうか。
カードローンを、複数社から借りる。
これが、最悪の一手だ。
個人の信用情報に、借入が積み上がる。
そうなると、半年後の再申込は、さらに難しくなる。
断られた直後に何が起きるかを、可視化した記事がある。
融資を断られた直後が、一番危ない(多重債務への転落ルートを可視化する)
読んでほしい。
そして、落ちたときの正しい手順は、こうだ。
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| やること | やってはいけないこと |
|---|---|
| 否決の理由を、聞く(明確な理由は開示されないことが多いが、聞く価値はある) | 理由を確認せず、すぐ別の先に申し込む |
| 3つの数字を、作り直す(自己資金の履歴・生活費・損益分岐点) | 計画書の文章だけを直して、再提出する |
| 制度融資・信用保証協会の創業枠を検討する | ノンバンクのカードローンで埋める |
| 開業スケジュールそのものを、遅らせる | 予定通り開業して、運転資金が尽きるのを待つ |
| 自己資金を、あと数か月かけて積み上げる | 親族から借りて、自己資金に見せかける |
| 商工会議所・よろず支援拠点に相談する(無料) | 「必ず通します」とうたう有料の代行業者に頼る |
融資が下りなかった。しかし、物件は押さえた。開業日も告知した。
——ここで「予定通りやる」と決めてしまうことが、いちばん危険です。
運転資金が足りない状態で開業すれば、売上が立つ前に資金が尽きます。そして、そこから高コストの調達に走ることになります。
開業を3か月遅らせて、自己資金を積み上げ、計画を作り直して再申込する。
これは「後退」ではありません。生き残るための、前進です。
公的な支援制度の全体像はノンバンクの前に使うべき公的支援(セーフティネット貸付・保証協会・納税の猶予)で整理しています。また、調達手段そのものの全体像は事業資金の調達方法12種類(検討順に並べた)を。
FAQよくある質問
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まとめ
創業融資の面談で、担当者が最初に手に取るのは、事業計画書ではない。
通帳だ。
そして、見ているのは残高ではなく、履歴だ。
毎月、いくら貯めてきたか。
それを、何年続けてきたか。
積立ができる人は、返済もできる。
貸し手は、そう読む。
だから、直前に一括で入った大口入金は、必ず問われる。
「この入金は、何ですか」
見せ金は、派手な調査でバレるのではない。
通帳を、めくられるだけだ。
——制度上の自己資金要件は、2024年3月に撤廃された。
だが、なくなっていない。
一律の数値がなくなった分、「その人がどういう人か」を履歴から読む比重が上がった。
そして、落ちる人が共通して持っていないのは、この3つだ。
①自己資金の形成過程②自分の生活費③損益分岐点売上高
売上の予測は、ほとんどの人が持っている。
この3つを、円で即答できる人は、少ない。
——落ちたときに、カードローンで埋めないでほしい。
その一手が、次の道を塞ぐ。
開業を3か月遅らせて、自己資金を積み、計画を作り直す。
それは後退ではない。
生き残るための、前進だ。
・日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」
・日本政策金融公庫「金利情報」
・日本政策金融公庫「創業支援」
・中小企業庁
・ミラサポplus(中小企業向け補助金・総合支援サイト)
・金融庁「登録貸金業者情報検索サービス」
・e-Gov 法令検索「貸金業法」
相談窓口
金融庁 金融サービス利用者相談室:0570-016811/日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター:0570-051051/警察相談専用電話:#9110
監修:黒岩 智之(くろいわ ともゆき)
事業再生コンサルタント/中小企業の資金調達支援18年。地方銀行の融資審査部に9年在籍後、独立。これまで1,200社超の資金繰り相談に対応。建設・運送・医療介護分野の資金調達を専門とする。

