介護事業者の資金繰り|訪問介護の倒産が過去最多になった、本当の理由
この記事の結論
- 2025年の介護事業者の倒産は176件で、2年連続の過去最多だった。だが、注目すべきは総数ではなく内訳だ。
- 訪問介護91件(3年連続で過去最多)。一方、通所・短期入所は45件で前年比▲19.6%と減っている。有料老人ホームは16件。介護業界全体が沈んでいるのではない。訪問介護だけが、突出して沈んでいる。
- なぜ訪問介護だけなのか。理由は3つ重なっている。①2024年度介護報酬改定で、訪問介護の基本報酬が引き下げられた ②ヘルパーの高齢化と人手不足 ③移動時間とガソリン代が、報酬に反映されにくい。
- 2026年度は、介護報酬の改定年ではない。直近の改定は2024年度、次は2027年度の医療・介護同時改定だ。つまり報酬は当面動かない。その前提で資金繰りを設計する必要がある。
- 介護報酬も、国保連を経由して約2か月後に入金される。人件費は毎月末に出る。売上の8割前後が人件費という業態で、2か月の立て替えを続けている。これが構造だ。
2025年。
介護事業者の倒産は176件。
2年連続で、過去最多を更新した。
——だが、この数字だけでは何も見えない。
見るべきは、内訳だ。
訪問介護 91件。
3年連続で過去最多を更新。
通所・短期入所 45件。
前年比 ▲19.6%。
有料老人ホーム 16件。
——気づいてほしい。
デイサービスの倒産は、減っている。
介護業界全体が沈んでいるのではない。
訪問介護だけが、突出して沈んでいる。
なぜか。
「高齢化で需要はあるはずだ」
そのとおりだ。
需要はある。
需要があるのに、倒れている。
この矛盾を説明できなければ、資金繰りの処方箋も書けない。
——理由は、3つ重なっている。
①2024年度の介護報酬改定で、訪問介護の基本報酬が引き下げられた。
②ヘルパーが確保できない。
③移動時間とガソリン代が、報酬に反映されにくい。
この3つが、同時に効いている。
そして、2026年度は介護報酬の改定年ではない。
次の改定は2027年度、医療との同時改定だ。
つまり、報酬は当面動かない。
その前提で、資金繰りを設計する。
この記事は、そのための記事だ。
目次
01倒産176件の内訳|訪問介護だけが突出している
グラフを見てほしい。
この1枚が、介護業界で今起きていることのすべてを説明している。
この図の意味を、はっきり言葉にする。
介護業界全体が沈んでいるのではない。
通所(デイサービス)と短期入所(ショートステイ)は、前年比▲19.6%で減っている。
有料老人ホームは16件。
訪問介護だけが、91件で突出している。
しかも、3年連続で過去最多を更新し続けている。
——「高齢化で需要は増える。だから介護は安泰だ」
その言葉が、訪問介護の現場では成り立っていない。
需要はある。なのに、倒れている。
理由を、次の章で分解する。
← 横にスクロールできます →
| 業態 | 2025年の倒産件数 | 前年比 | 構造上の特徴 |
|---|---|---|---|
| 訪問介護 | 91件 | 3年連続で過去最多を更新 | 小規模事業者が中心。ヘルパーの確保が事業継続の生命線。移動時間とガソリン代の負担が重い |
| 通所・短期入所 | 45件 | ▲19.6%(減少) | 施設に利用者が来る。移動コストが少ない。稼働率で採算を管理しやすい |
| 有料老人ホーム | 16件 | — | 入居者からの利用料収入があり、介護報酬への依存度が相対的に低い |
| 合計 | 176件 | 2年連続で過去最多 | — |
| 休廃業・解散 | 653件 | 過去最多 | 倒産の3.7倍。「倒れる前にやめている」事業者のほうが、はるかに多い |
統計を読むときに大事なのは、「自分はどちら側にいるのか」を確認することだ。
- 訪問介護をやっているなら、91件の側の構造にいる。基本報酬の引下げ、ヘルパー不足、移動コスト——3つとも当事者だ
- 通所をやっているなら、45件の側だ。ただし「減っている」というだけで、安全という意味ではない。稼働率が落ちれば、施設の固定費が重くのしかかる
- 訪問と通所を併設しているなら、事業ごとに損益を分けて見る。合算すると、訪問の赤字が通所の黒字に隠れる。隠れた赤字は、いつか現金の形で表に出る
02なぜ訪問介護だけなのか|3つの原因が重なった
因果を、図で示す。
1つの原因ではない。
3つが同時に効いている。
だから、1つを解決しても足りない。
図の下から2段目に、答えがある。
通所(デイサービス)には、③の移動コストがない。
利用者が施設に来るからだ。
送迎はあるが、1台のバスで複数人をまとめて運べる。
訪問介護は、ヘルパーが1軒ずつ回らなければならない。
移動している時間は、介護報酬が発生しない。
ガソリン代も、基本的には事業者の負担だ。
——この差が、倒産件数の差として現れている。
91件と45件の差は、偶然ではない。
構造の差だ。
032024年度改定で、訪問介護の基本報酬に何が起きたか
2024年度(令和6年度)の介護報酬改定。
全体としてはプラス改定だった。
だが、その中で訪問介護の基本報酬だけが引き下げられた。
引下げ幅は、サービス区分により2〜3%程度とされている。
← 横にスクロールできます →
| 訪問介護のサービス区分 | 2024年度改定後の単位数 | 資金繰りへの意味 |
|---|---|---|
| 身体介護中心型(30分以上1時間未満) | 387単位 | 基本報酬が引き下げられた。1回あたりの売上が減る |
| その他の身体介護・生活援助の区分 | いずれも引下げ | 引下げ幅は区分により2〜3%程度 |
| 処遇改善加算 | 加算率の引上げが行われた | だが、加算は介護職員の賃金に充てることが前提。事業者の手元には残らない |
| 改定の建付け | 基本報酬を下げ、処遇改善加算を上げる。つまり「売上単価は下げるが、加算を取って職員に配れ」という設計になっている。加算を取るには要件を満たす必要があり、事務負担も増える | |
2024年度改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられた背景には、訪問介護サービスの利益率が、全介護サービスの平均を上回っていたという統計がある。
だが、この統計には落とし穴がある。訪問介護は、事業者間の格差が非常に大きい。大手・中堅で稼働率が高く、サービス提供責任者の配置が効率的な事業所と、ヘルパー数名で回している小規模事業所とでは、収益構造がまるで違う。
平均が高いからといって、中央値が高いとは限らない。そして、倒産しているのは平均値の会社ではない。小規模の、余力のない事業所だ。
——これは制度批判をしたいのではない。「自分の事業所は、平均の側にいるのか、それとも下の側にいるのか」を、数字で把握してほしいという話だ。それが、資金繰りの出発点になる。
「人手不足」は、採用の問題として語られることが多い。だが、資金繰りの現場では、こう現れる。
- ①依頼が来ても受けられない。売上が伸びない。だが、事務所の家賃も、サービス提供責任者の給与も、変わらず出ていく。固定費だけが残る
- ②登録ヘルパーの高齢化。長年支えてくれた方が、体力の限界で辞めていく。後任がいない。だからサービスを縮小する。だから売上が減る
- ③時給を上げれば人は来る。だが、基本報酬は上がっていない。時給を上げた分は、そのまま利益から出る
- ④無理に受けると、既存のヘルパーが疲弊して辞める。そして、さらに人が減る
——この連鎖の中で、「今月の給与を払う金があるか」が、経営の中心的な問いになる。だから、資金繰りの話は避けて通れない。
04介護報酬も約2か月サイト|国保連経由の入金フロー
介護報酬の入金も、遅い。
医療とほぼ同じ、約2か月サイトだ。
流れを刻む。
医療機関と、同じ構造だ。
利用者負担分はその場で入る。
だが、介護報酬の大部分は、2か月遅れる。
そして——
訪問介護は、売上に対する人件費の比率が、他の業態より高い。
ヘルパーの給与は、毎月末に出る。
2か月待てない。
これが、訪問介護の資金繰りがきつい理由の、もう一つの側面だ。
医療機関の2か月サイトの構造についてはクリニック・医療機関の資金繰り|診療報酬「2ヶ月サイト」の構造を攻略するで詳しく分解している。
介護と医療は、債務者が国保連・支払基金という公的機関である点で共通する。
この「債務者の信用力」が、ファクタリングの手数料を考えるときの鍵になる。
その話は、後半でする。
05訪問介護の原価構造|人件費が固定費として先に出る
訪問介護の損益を、分解する。
この図が言いたいことは、1つだ。
同じ単位数を算定しても、訪問の密度によって、採算は正反対になる。
訪問が密集している地域なら、移動は5分で済む。
散らばっている地域なら、移動に30分かかる。
移動30分に対して、介護報酬は発生しない。
だが、ヘルパーの時給は発生する。
この差が、そのまま利益率の差になる。
——資金繰りの相談で、私はいつもこの計算をお願いする。
「訪問1件あたりの移動時間の平均は、何分ですか」
答えられない事業所が、少なくない。
そして、答えられない事業所ほど、資金繰りが苦しい。
数字を持っていないと、どこを直せばいいかも分からないからだ。
資金繰り表の作り方は資金繰り表の作り方|銀行に出す月次表と、自分を守る日繰り表は別物で記入例まで書いた。
介護事業者には、日繰り表を強く勧める。
給与の支払日と、国保連からの入金日が2か月ずれているからだ。
062026年度は改定年ではない|報酬は当面動かない
ここは、正確に書く。
2026年度は、介護報酬の改定年ではない。
直近の改定は2024年度。
次の改定は2027年度で、医療(診療報酬)との同時改定になる。
つまり——
2026年度は、診療報酬が改定された(本体+3.09%)。医療機関には追い風が吹いている。
だが、介護報酬は改定されていない。訪問介護は、2024年度に引き下げられた基本報酬のまま、2027年度まで走ることになる。
- 報酬が上がるのを待つ、という選択肢はない。少なくとも、当面は
- できることは、①稼働率を上げる ②移動効率を上げる ③加算を取り切る ④資金繰りの穴を埋める手段を確保する、この4つに絞られる
- 特に④は、余力があるうちに準備しておく。資金が尽きてから探し始めると、条件の悪い選択肢しか残らない
融資を断られた後に何が起きるかはファクタリングとビジネスローンの違い|同じ100万円でも、コストは10倍変わるで、コストの差として示している。追い詰められてからの調達は、高い。
資金繰りの相談を受けるとき、私はこの3つを最初に聞く。ここが埋まれば、打ち手を探す土台ができる。
- ①訪問1件あたりの、移動時間の平均は何分か。これが分かれば、1日に何件回せるかの上限が分かる。売上の天井が見える
- ②ヘルパー1人あたりの、月間の稼働時間と算定時間の差は何時間か。この差が、報酬の発生しない時間だ。ここに人件費が消えている
- ③来月末の給与を払う金は、今、通帳にあるか。国保連からの入金は2か月後だ。「今月は大丈夫」ではなく、「2か月先まで大丈夫か」で見る
——③に「分からない」と答えた事業所は、まず資金繰り表の作り方(日繰り表)から始めてほしい。数字がなければ、資金調達の判断もできない。
07休廃業653件|倒産より多い「静かな撤退」
もう一つ、重要な数字がある。
2025年の介護事業者の休廃業・解散は653件。
過去最多だ。
倒産は176件。
休廃業は、その3.7倍。
つまり——
倒れる前に、やめている事業者のほうが、はるかに多い。
休廃業を選ぶ事業者は、債務超過ではないことも多い。
「まだ払える。だが、これ以上は続かない」
そう判断して、たたむ。
後継者がいない。ヘルパーが集まらない。採算が合わない。
——この決断は、経営者として決して間違ってはいない。
倒産して債権者に迷惑をかけるより、払えるうちにたたむほうが、はるかに誠実だ。
だから、私は「続けるべきだ」とは言わない。
ただ、続けると決めたなら、資金繰りの構造を数字で押さえてほしい。
それだけだ。
倒産全体の兆候は【2026年上半期】倒産5,300件超のデータで読む、危ない資金繰りの12の兆候でチェックリストにした。
08処遇改善加算は、資金繰りを救わない
誤解を、解いておく。
処遇改善加算は、事業者の資金繰りを楽にする制度ではない。
理由は単純だ。
加算として入ってきた分は、介護職員の賃金として支払うことが前提になっている。
手元には、残らない。
- 入ってくるタイミングも、2か月遅れる。加算分も介護報酬の一部として、国保連経由で入金される
- だが、賃金の支払いは毎月末だ。加算が入る前に、賃金として出ていく
- つまり、加算を取れば取るほど、立て替え額は増える。加算率が上がるということは、その分の賃金を先に払うということだ
- 加算の要件を満たすための事務負担も増える。計画書の作成、実績報告、賃金の配分の記録。これらは目に見えないコストだ
- ただし、加算を取らない選択肢はない。基本報酬が下げられた以上、加算を取らなければ売上そのものが成り立たない
処遇改善加算は、職員のための制度であって、事業者の資金繰りのための制度ではない。この区別を混同すると、資金繰り表が狂う。
09介護事業者の資金調達|借りるか、売るか
ここから、資金調達の話をする。
介護事業者には、一般の中小企業にはない強みが一つある。
介護報酬債権の債務者が、国民健康保険団体連合会(国保連)だという点だ。
実質的な、公的機関だ。
支払われないという事態は、現実的に想定されていない。
——これは、ファクタリングにおいて決定的に効く。
ファクタリングの手数料は、「業者が負う回収リスクの対価」だ。
売掛先が国保連なら、回収リスクはほとんどない。
だから、介護報酬債権のファクタリング手数料は、一般の企業間取引の売掛債権より、低くなるのが自然だ。
一般と同じ「手数料10%」を提示されたら、その根拠を聞いていい。
この論点はファクタリング手数料の相場と実質年率換算表と、クリニック・医療機関の資金繰り|診療報酬「2ヶ月サイト」の構造で掘り下げている。
介護も、まったく同じ理屈だ。
← 横にスクロールできます →
| 判断軸 | ビジネスローン(借りる) | 介護報酬ファクタリング(売る) |
|---|---|---|
| 法的性質 | 金銭消費貸借(貸付け)。貸金業の登録が必要 | 債権譲渡(民法466条)。貸付けではない |
| コストの表示 | 実質年率(年○%)。利息制限法の上限が適用される | 買取手数料(%)。上限金利は直接には適用されない |
| 審査の対象 | 事業者自身の財務内容・返済能力 | 売掛先(国保連)の信用力が中心 |
| 貸借対照表 | 負債が増える | 負債は増えない |
| 返済義務 | あり | なし(償還請求権のない契約の場合) |
| 人件費(毎月出る固定費)に充てるなら | こちらが合理的。継続的な支出に、毎月高い手数料を払うのは割に合わない | 毎月使うと手数料が固定費化する |
| 2か月サイトの穴を埋めるなら | 使えるが、返済が始まる | 構造的に噛み合う。入金と同時に完結する |
| 赤字決算の場合 | 審査が厳しくなる | 売掛先の信用力が中心のため、利用できる場合がある(※各社の審査基準による) |
商号:アクト・ウィル株式会社(東京都豊島区東池袋3-11-9/資本金5,500万円/代表 谷口友祐)
登録番号:東京都知事(5)第31521号
実質年率:年7.50%〜年15.00%/遅延損害金:年20.00%
融資可能額:同社の公表内容に不整合があるため、当サイトでは「要問い合わせ」とします。正確な金額は同社にご確認ください。
融資までのスピード:同社の公表情報に記載がありません(要問い合わせ)。
対象:法人のみ(医療・介護・調剤薬局)
返済方式・返済期間・返済回数:ご契約内容により異なります(契約書面をご確認ください)
担保・保証人:ご契約内容により異なります(詳細は同社にご確認ください)
※お借入れには審査があります。審査の結果によっては、ご希望に沿えない場合があります。
そして、順序の話をする。
ノンバンクの前に、見るべき場所がある。
介護事業者には、独立行政法人福祉医療機構という専用の融資ルートがある。
医療・福祉分野に特化した、長期・低利の公的融資だ。
設備投資や、長期の運転資金なら、まずここだ。
日本政策金融公庫も使える。
国民生活事業の基準利率は、無担保で年3.50%〜5.20%(2026年7月時点)。
手数料10%のファクタリングとは、比較にならない安さだ。
ノンバンクの前に使うべき公的支援|セーフティネット貸付・保証協会・納税の猶予で、制度ごとに整理してある。
時間があるなら、まずそちらを見てほしい。
——だが、時間がないこともある。
「今月末の給与が払えない」
そのときに使うのが、ビジネスローンであり、ファクタリングだ。
順序を踏んだ上での選択なら、それは合理的な経営判断だ。
- ①毎月ファクタリングで人件費を作る。人件費は、毎月・確実に出ていく固定費だ。毎月1,000万円の債権を手数料5%で売れば、年間600万円の手数料になる。これは利益をそのまま削る。基本報酬が下がっている業態で、この負担は重すぎる
- ②処遇改善加算が入るから大丈夫、と考える。加算は職員の賃金に充てるものであり、事業者の手元には残らない。資金繰り表の上で、加算を「使える金」として数えてはいけない
- ③「審査が甘い会社」を探し始める。この行動そのものが危険信号だ。介護報酬債権は、債務者が国保連=信用力の高い債権であり、本来なら条件が出やすい。その業種で「審査の甘さ」を探しているとしたら、探す相手を間違えている
10介護事業者向けサービスの条件比較
← 横にスクロールできます →
| 項目 | アクト・ウィル メディカル(ビジネスローン) | 株式会社No.1(ファクタリング) |
|---|---|---|
| 種別 | ビジネスローン(貸金業法に基づく貸付け) | ファクタリング(債権譲渡) |
| コスト | 実質年率 年7.50%〜年15.00% | 買取手数料 0.5%〜15% |
| 遅延損害金 | 年20.00% | —(返済ではないため発生しない) |
| 金額 | 要問い合わせ(同社の公表内容に不整合があるため、当サイトでは推測しません) | 50万円〜3億円 |
| 速さ | 記載なし(要問い合わせ) | 最短30分で振込 |
| 対象 | 法人のみ(医療・介護・調剤薬局) | 事業者(法人・個人の別は記載なし) |
| オンライン完結 | 不可(電話・ウェブサイトからの申込) | 電子契約に対応・全国対応(ヒアリングあり) |
| 償還請求権 | —(貸付けのため概念が異なる) | なし(ノンリコース)と明記 |
| 登録番号 | 東京都知事(5)第31521号 | —(貸金業者ではない) |
| 会社情報 | アクト・ウィル株式会社/東京都豊島区東池袋3-11-9/資本金5,500万円/代表 谷口友祐 | 株式会社No.1/東京都豊島区東池袋1-18-1/設立2016年1月7日/資本金8,000万円/代表 濵野邦彦(名古屋・福岡に支社) |
| 向いている用途 | 人件費・賞与など、継続的に出ていく固定費 | 国保連からの入金待ちを埋める、2か月の穴 |
ファクタリング会社の選び方はファクタリング会社の選び方|悪質業者を見抜く15のチェックリストにまとめた。
契約書のどこを見るか。
買戻特約、償還請求権、表明保証、公正証書。
これらが出てきたら、そこで手を止めていい。
ビジネスローンの総支払額の計算はビジネスローンの金利|100万・500万を借りたら総額いくら返すのか【計算表】に円単位の表がある。
「年7.5〜15.0%」と言われても、判断できないはずだ。
円で見てから、決めてほしい。
FAQよくある質問
①2024年度介護報酬改定で、訪問介護の基本報酬が引き下げられました。引下げ幅はサービス区分により2〜3%程度とされています(身体介護中心型・30分以上1時間未満は387単位)。売上の単価が下がりました。
②ヘルパーの高齢化と人手不足です。依頼が来ても、対応できるヘルパーがいなければ受けられません。売上の量が伸びません。
③移動時間とガソリン代です。ヘルパーが利用者宅を1軒ずつ回る間、介護報酬は発生しませんが、人件費は発生します。ガソリン代・駐車場代も、多くは事業者の負担です。
通所(デイサービス)には③がありません。利用者が施設に来るからです。だから通所・短期入所の倒産は45件で前年比▲19.6%と減っています。91件と45件の差は、この構造の差から生まれています。
直近の介護報酬改定は2024年度(令和6年度)です。次の改定は2027年度で、医療(診療報酬)との同時改定になります。
なお、2026年度には診療報酬の改定が行われました(本体+3.09%、薬価等▲0.87%、全体+0.22%。薬価は2026年4月1日、本体は2026年6月1日施行)。医療は改定されましたが、介護は改定されていません。医療と介護を併設している法人は、この点を混同しないでください。
つまり、訪問介護は2024年度に引き下げられた基本報酬のまま、次の改定まで走ることになります。「報酬が上がって救われる」という前提を、当面は外して資金繰りを設計する必要があります。
たとえば7月にサービスを提供した分なら、8月10日までに請求し、9月末ごろに入金されます。約2か月のタイムラグがあります。
一方、ヘルパーの給与は毎月末に支払われます。訪問介護は、売上に対する人件費の比率が非常に高い業態です。つまり、常に2か月分の人件費を立て替えている状態になります。
月商1,000万円の訪問介護事業所なら、常時2,000万円前後を立て替えている計算になります。この金額は利益ではなく、入金が来るまでの立て替えです。
なお、請求内容に不備があると返戻され、入金がさらに後ろにずれます。
理由は、加算として入ってきた分を、介護職員の賃金として支払うことが前提になっているためです。手元には残りません。
むしろ、資金繰りの観点では負担が増える側面もあります。加算分も介護報酬の一部として、国保連経由で約2か月遅れて入金されます。一方、賃金の支払いは毎月末です。つまり、加算を取れば取るほど、先に支払う賃金が増え、立て替え額も増えます。
また、加算の要件を満たすための計画書作成・実績報告・賃金配分の記録といった事務負担も発生します。
ただし、加算を取らないという選択肢はありません。基本報酬が引き下げられた以上、加算を取らなければ売上そのものが成り立たないからです。処遇改善加算は職員のための制度であり、事業者の資金繰りのための制度ではない——この区別を、資金繰り表の上でも明確にしてください。
ファクタリングの手数料は、業者が負う回収リスクの対価です。売掛先が国保連であれば、回収リスクはほとんどありません。したがって、一般の企業間取引の売掛債権よりも、手数料は低くなるのが自然です。
もし、一般の売掛債権と同水準の「手数料10%」を提示されたのであれば、「この手数料率の根拠を教えてください」と聞いてください。合理的な説明(事務コスト、返戻リスク、資金調達コスト等)ができる業者であれば、その中身を検討すればよいでしょう。説明を嫌がる業者は、見送ってよいと考えます。
金融庁は、買取代金が債権額に比べて著しく低額であるケースを、偽装ファクタリングの疑いがある事例として挙げています。
また、見積書を受け取ったら、手数料率ではなく「手取りいくらか」を円で確認してください。
ビジネスローン(借入)は、事業者自身の財務内容・返済能力が審査されます。赤字決算の場合、審査は厳しくなります。ただし、赤字の中身によって結論は変わります。一時的な要因による赤字なのか、構造的な赤字なのかで、評価は異なります。
ファクタリングは、売掛先の信用力を中心とした審査が行われます。介護報酬債権であれば、売掛先は国保連です。したがって、自社が赤字であっても利用できる場合があります。ただし、各社の審査基準によります。
そして、順序を確認してください。介護事業者には、独立行政法人福祉医療機構という医療・福祉分野に特化した公的融資のルートがあります。日本政策金融公庫の国民生活事業も使えます(基準利率は無担保で年3.50%〜5.20%。2026年7月時点)。
時間があるなら、まずこちらを検討してください。コストが大きく違います。
あわせて読みたい
まとめ
2025年、介護事業者の倒産は176件。
だが、大事なのは総数ではない。
訪問介護 91件。
通所・短期入所 45件(前年比▲19.6%)。
有料老人ホーム 16件。
デイサービスは、減っている。
訪問介護だけが、突出して沈んでいる。
理由は、3つ重なっている。
①2024年度改定で、基本報酬が引き下げられた。
②ヘルパーが確保できない。
③移動時間とガソリン代が、報酬に反映されにくい。
単価は下がり、量は伸びず、原価は上がる。
3方向すべてが、利益を削っている。
——そして、2026年度は介護報酬の改定年ではない。
次は2027年度、医療との同時改定だ。
報酬が上がって救われる、という前提は、当面は外したほうがいい。
介護報酬は、国保連経由で約2か月遅れる。
ヘルパーの給与は、毎月末に出る。
売上の大部分が人件費という業態で、2か月の立て替えを続けている。
これが、構造だ。
——できることは、4つに絞られる。
①稼働率を上げる②移動効率を上げる③加算を取り切る④資金繰りの穴を埋める手段を確保する
特に④は、余力があるうちに準備してほしい。
資金が尽きてから探すと、条件の悪い選択肢しか残らない。
2025年、休廃業・解散は653件。
倒産の3.7倍だ。
倒れる前に、やめている事業者のほうが、はるかに多い。
その判断を、私は否定しない。
だが、続けると決めたなら。
数字を、持ってほしい。
訪問1件あたりの移動時間は、何分か。
来月末の給与を払う金は、通帳にあるか。
それが、資金繰りの出発点だ。
・厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」
・国民健康保険中央会(国民健康保険団体連合会)
・厚生労働省
・独立行政法人福祉医療機構
・金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」
・金融庁「登録貸金業者情報検索サービス」
・e-Gov 法令検索「貸金業法」
・日本政策金融公庫「金利情報」
・東京商工リサーチ「2025年 介護事業者の倒産・休廃業解散」
相談窓口
金融庁 金融サービス利用者相談室:0570-016811/日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター:0570-051051/警察相談専用電話:#9110
監修:黒岩 智之(くろいわ ともゆき)
事業再生コンサルタント/中小企業の資金調達支援18年。地方銀行の融資審査部に9年在籍後、独立。これまで1,200社超の資金繰り相談に対応。建設・運送・医療介護分野の資金調達を専門とする。

