悪質業者に当たったときの断り方と通報先【電話番号一覧】

審査・トラブル・資金繰り改善
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悪質業者に当たったときの断り方と通報先【電話番号一覧】

公開日 2026年7月13日|最終更新 2026年7月13日
監修:黒岩 智之
事業再生コンサルタント/中小企業の資金調達支援18年
元・地方銀行 融資審査部(9年)/相談実績1,200社超
広告(PR)|本サイトにはアフィリエイト広告が含まれます。ただし本記事には広告リンクを一切設置していません。相談窓口を案内する記事に広告を混ぜるべきではないと考えるためです。

この記事の結論

  • 今日かけていい番号を、先に書く。警察相談専用電話 #9110金融庁 金融サービス利用者相談室 0570-016811日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター 0570-051051消費者ホットライン 188
  • 無登録での貸金業の営業は、犯罪だ。貸金業法11条1項に違反し、同法47条により10年以下の拘禁刑または3,000万円以下の罰金(併科もあり得る)。相手が「業者」であることは、あなたを守る理由にはなっても、相手を守る理由にはならない。
  • 年109.5%を超える利息の契約は、消費貸借契約そのものが無効になる(貸金業法42条1項)。元本の返還義務についても争いうる。
  • すでに支払ってしまった手数料についても、不当利得の返還請求や、公序良俗違反(民法90条)による無効の主張ができる場合がある。あきらめる前に、弁護士に相談してほしい。
  • そして、ここが一番大事だ。「違法な業者だから払わなくていい」と頭で分かっていても、職場や家族への嫌がらせが怖くて払ってしまう人が、実際にいる。その恐怖は、正常な反応だ。だからこそ、一人で判断してはいけない。警察と弁護士に、同時につながることが、唯一の出口だ。

この記事は、前置きから始めない。

今、取立てを受けている。

今、契約書を前にして手が止まっている。

今、「払わないと会社に行くぞ」と言われている。

そういう人が読んでいると想定して書く。

だから、電話番号を、最初に置く。

読み飛ばしていい。

かけていい。

——そして、一つだけ先に言っておく。

インターネットには、「そんな業者を選んだお前が悪い」という言葉があふれている。

私は、それを書かない。

追い詰められた経営者が、藁をつかもうとするのは当たり前のことだ。

責める理由が、どこにもない。

この記事に書いてあるのは、説教ではなく、次の一手だけだ。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の法律問題についての助言を行うものではありません。個別の事案については、必ず弁護士等の専門家にご相談ください。掲載している法令・制度の内容は2026年7月時点の公開情報に基づきます。電話番号・受付時間は変更される場合があるため、各機関の公式サイトで最新の情報をご確認ください。緊急の危険がある場合は、迷わず110番してください。

01まず、この番号にかけてください

説明は後回しにする。

先に、番号を渡す。

悪質業者に関する相談窓口の電話番号一覧カード 相談窓口 電話番号一覧(2026年7月時点)

警察相談専用電話(緊急性がない相談の窓口) #9110 ・違法な取立て、脅迫、無登録営業の相談 ・最寄りの警察本部の相談窓口につながる ・身に危険が迫っているときは、110番

金融庁 金融サービス利用者相談室 0570-016811 ・無登録業者、違法な金融取引の情報提供 ・ファクタリングを装った貸付けの相談

日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター 0570-051051 ・貸金業者とのトラブル、返済に関する相談 ・指定紛争解決機関としての苦情・紛争対応

消費者ホットライン(消費生活センターにつながる) 188 ・「いやや」と覚える。最寄りの相談窓口へ ・事業者の相談も、まず整理の入口として使える ・どこに相談すべきか分からないとき、ここへ

どれか1つでいい。今日、窓口が開いている間に、かけてください

図1:相談窓口の電話番号一覧。受付時間は各機関の公式サイトでご確認ください。身に危険が迫っている場合は、迷わず110番してください。

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窓口 電話番号 何を相談できるか
警察相談専用電話 #9110 違法な取立て、脅迫、無登録営業。緊急性がない相談の窓口。身に危険が迫っているときは110番
金融庁 金融サービス利用者相談室 0570-016811 無登録業者・違法な金融取引に関する情報提供。ファクタリングを装った貸付けの相談
日本貸金業協会
貸金業相談・紛争解決センター
0570-051051 貸金業者とのトラブル、返済に関する相談。指定紛争解決機関としての苦情・紛争対応
消費者ホットライン 188 最寄りの消費生活センター等につながる。どこに相談すべきか分からないときの入口
法テラス(日本司法支援センター) 0570-078374 弁護士・司法書士への相談窓口の案内。要件を満たせば無料法律相談・費用立替の制度あり
登録貸金業者情報検索サービス ウェブ 金融庁の検索サービスで、相手が登録業者かを照合できる
※電話番号・受付時間は2026年7月時点のものです。変更される場合があるため、各機関の公式サイトで最新の情報をご確認ください。ナビダイヤル(0570)は通話料がかかります。
● どれか1つで迷うなら、こう選んでください
  • 脅されている・自宅や職場に来られた・大声を出された警察(#9110、危険が迫っているなら110番)
  • 相手が無登録かもしれない・ファクタリングを装った貸付けではないかと疑っている金融庁(0570-016811)
  • 相手は登録業者だが、条件や取立てがおかしい日本貸金業協会(0570-051051)
  • 何から手をつければいいか分からない消費者ホットライン(188)、または法テラス(0570-078374)

複数にかけて構いません。「もうこっちに相談したから」と遠慮する必要はありません。

02相手が「登録された貸金業者」かを、3分で確かめる

次にやることは、相手が誰なのかを確かめることだ。

これは、インターネットさえあれば3分でできる。

使うのは、金融庁の登録貸金業者情報検索サービスだ。

登録貸金業者情報検索サービス : 金融庁
登録貸金業者情報検索サービスでの照合手順 登録貸金業者かどうかを、3分で照合する

1 手元の資料から、3つを書き出す 商号(会社名)/登録番号/所在地。名刺・契約書・ウェブサイトのどこかにある

2 金融庁の登録貸金業者情報検索サービスで検索する 商号でも、登録番号でも検索できる。所在地・電話番号まで一致するかを見る

一致した = 登録貸金業者である ただし「登録=適法な取引」ではない。 金利・取立て方法が違法なら、 日本貸金業協会(0570-051051)へ

一致しない/出てこない = 無登録営業の疑い 貸金業法11条1項違反 → 47条により10年以下の拘禁刑 警察(#9110)と金融庁へ

注意:登録番号だけをコピーして名乗る「なりすまし」がある。所在地・電話も一致するか見る

ファクタリング業者は貸金業の登録が要件ではない。だから「登録なし=即違法」ではない

図2:登録貸金業者情報検索サービスでの照合手順。商号・登録番号・所在地・電話番号のすべてが一致するかを確認する。

ここで、誤解を一つ解いておく

「登録貸金業者の一覧に載っていない=違法」とは限らない。

なぜなら、ファクタリングは債権の売買(民法466条の債権譲渡)であり、貸付けではないため、貸金業の登録は要件ではないからだ。

つまり、正規のファクタリング会社は、検索しても出てこないのが普通だ。

ここを勘違いすると、合法な会社を疑い、違法な業者を見逃す。

では、どう見分けるのか。

答えは、「登録の有無」ではなく「契約の中身」を見ることだ。

▲ 金融庁が示す「偽装ファクタリング」の危険信号
  • 買取代金が、債権額に比べて著しく低額
  • 回収が売主(あなた)に委託され、回収できなければ売主が買い戻す契約になっている
  • 回収できなければ、売主自身の資金で支払う契約になっている
  • 償還請求権(リコース)がある
  • 表明保証によって、実質的に売主に保証させている(東京地裁 令和4年3月4日判決)
  • 公正証書を作らされる(東京高裁 令和3年7月1日判決)
  • 連帯保証人を求められる
  • 給与(賃金債権)が対象になっている(最高裁 令和5年2月20日 第三小法廷決定により、給与ファクタリングは貸金業法2条1項・出資法5条3項の「貸付け」に当たると判断されました)

金融庁は、ファクタリングを装っていても、経済的に貸付けと同様の機能を有するものは、貸金業に該当するおそれがあるとしています。
出典:金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」

この8つのうち一つでも当てはまるなら、それは「債権売買の顔をした貸付け」である疑いがある。

そして、貸付けだと判断されれば、貸金業法・利息制限法・出資法の規制がかかる。

裁判所が実際にどう判断してきたかは、ファクタリングは「やばい」のか|裁判例7件で読む、合法と違法の境界線で、7件の裁判例を一件ずつ分解している。

あなたの契約がどちら側にあるのかを判断する材料になる。

03無登録営業は、犯罪である

ここから、法律の話をする。

理由は、あなたが今、「自分が悪いのではないか」と思っているかもしれないからだ。

法律は、そうは言っていない。

順に確認する。

貸金業法・出資法の罰則の重さを段階で示した図 法律は、どちらの側に立っているか

無登録での貸金業の営業(貸金業法11条1項違反) → 47条:10年以下の拘禁刑 または 3,000万円以下の罰金 (併科もあり得る)

年109.5%を超える利息を業として契約・受領(出資法5条3項) → 10年以下の拘禁刑 または 3,000万円以下の罰金

年20%を超える利息を業として契約・受領(出資法5条2項) → 5年以下の拘禁刑 または 1,000万円以下の罰金

年109.5%を超える利息の契約(貸金業法42条1項) → 消費貸借契約そのものが「無効」になる

これらの罰則は、すべて「貸す側」に向けられている。借りた側には向けられていない

図3:貸金業法・出資法の罰則。無登録営業と超高金利は、いずれも重い犯罪として規定されている。罰則の対象は、貸した側である。

無登録営業(貸金業法11条1項・47条)

貸金業を営むには、登録が必要だ(貸金業法3条)。

登録を受けずに貸金業を営むことは、貸金業法11条1項で禁止されている。

そして、これに違反した者は、貸金業法47条により、10年以下の拘禁刑または3,000万円以下の罰金に処せられる(併科もあり得る)。

10年。

これは、軽い罪ではない。

参照:e-Gov 法令検索「貸金業法」

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条文 禁止されている行為 罰則・効果 罰則が向けられている相手
貸金業法11条1項・47条 登録を受けずに貸金業を営むこと 10年以下の拘禁刑または3,000万円以下の罰金(併科もあり得る) 貸した側
出資法5条3項 業として、年109.5%を超える利息の契約をし、またはこれを受領すること 10年以下の拘禁刑または3,000万円以下の罰金 貸した側
出資法5条2項 業として、年20%を超える利息の契約をし、またはこれを受領すること 5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金 貸した側
貸金業法42条1項 年109.5%を超える割合による利息の契約をすること 消費貸借契約そのものが無効 —(契約の効力の問題)
利息制限法1条 上限を超える利息の約定 元本10万円未満は年20%/10万円以上100万円未満は年18%/100万円以上は年15%を超える部分が無効 —(契約の効力の問題)
利息制限法6条 (みなし利息)礼金・手数料・調査料等を「利息ではない」として徴収すること 名目のいかんを問わず、利息とみなされる —(法的評価の問題)
※出典:e-Gov 法令検索「貸金業法」ほか。この表を見て、一つだけ確認してほしいことがあります。罰則は、すべて「貸した側」に向けられています。借りた側を罰する条文は、ここにはありません。

年109.5%超の利息契約は、契約自体が無効(貸金業法42条1項)

これは、知られていない条文だ。

貸金業法42条1項は、こう定めている。

貸金業を営む者が、年109.5%を超える割合による利息の契約をしたときは、当該消費貸借の契約は、無効とする。

「利息の約定が無効」ではない。

「消費貸借契約そのものが無効」だ。

これは、非常に強い効果をもつ。

元本の返還義務についても、不法原因給付(民法708条)の問題として争いうる。

つまり、「元本だけは返せ」という相手の主張が、必ず通るとは限らない。

この判断は、専門家でなければできない。

だからこそ、弁護士に相談してほしい。

利息制限法と出資法の上限金利のライン図 金利の「線」は、法律で引かれている

年率(%)

年15% ── 利息制限法1条:元本100万円以上の上限

年18% ── 元本10万円以上100万円未満の上限

年20% ── 出資法5条2項:超えると5年以下の拘禁刑 (遅延損害金の上限も年20%/利息制限法7条1項)

年109.5% ── 出資法5条3項:10年以下の拘禁刑 貸金業法42条1項:契約そのものが「無効」

この領域の契約は、そもそも法律上「なかったこと」になり得る

みなし利息(利息制限法6条):礼金・手数料・調査料も、名目を問わず利息とみなされる

「手数料」という名前をつけても、法的評価は変わらない ── これが、偽装を見抜く鍵になる

図4:利息制限法・出資法の上限金利。年109.5%超は、貸金業法42条1項により消費貸借契約そのものが無効となる。

■ 「みなし利息」という考え方(利息制限法6条)

利息制限法6条は、礼金・割引金・手数料・調査料その他、名目のいかんを問わず、金銭の貸主が受ける元本以外の金銭は、利息とみなすと定めています。

つまり、「これは利息ではなく手数料です」という主張は、法的評価を左右しません。

これは、ファクタリングを装った貸付けを見抜くうえで、決定的に効く論点です。実質が貸付けであると判断されれば、「手数料」と呼ばれていたものも利息として計算し直され、上限金利の規制がかかります。

手数料率が年率換算でどの位置にあるかは、ファクタリング手数料の相場と実質年率換算表で、支払サイト別のマトリクスにしています。年率換算は、業者を叩く道具ではなく、偽装を見抜く物差しです。

04すでに払ってしまったお金は、取り戻せる可能性がある

「もう払ってしまった。だから終わりだ」

そう思っている人へ。

終わりではない。

法的には、少なくとも2つの主張の道がある。

①不当利得返還請求(民法703条・704条)

法律上の原因がないのに利益を得た者は、その利益を返還する義務を負う

契約が無効であれば、それに基づいて支払った金銭は、「法律上の原因がない」支払いになる。

だから、返還を請求できる。

さらに、悪意の受益者(=法律上の原因がないことを知っていた者)に対しては、利息を付けて返還を請求できる(民法704条)。

②公序良俗違反による無効(民法90条)

札幌高裁 令和4年7月7日判決は、ファクタリングの形式を取っていたケースについて、こう判断した。

債権の譲渡が売掛先に発覚すれば事業の継続が困難になるため、利用者は何としてでも買い戻さざるを得ない状況にあった。

したがって、これは貸金規制の潜脱であり、公序良俗違反(民法90条)として無効である——と。

形式ではなく、実質で判断された。

あなたの契約も、同じ構造かもしれない。

判断できるのは、弁護士だけだ。

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証拠 なぜ必要か やってはいけないこと
契約書(写しでもよい) 買戻特約・償還請求権・表明保証・公正証書の有無を確認する。契約の性質を判断する起点になる 「もらっていない」なら、それ自体が重要な事実。もらっていないことを、正直に伝える
振込の記録(通帳・明細) いつ、いくら受け取り、いつ、いくら払ったか。実質的な負担率を計算する材料になる 記帳を止めない。明細を捨てない
やり取りの記録
(メッセージ・メール・着信履歴)
取立ての態様を示す。恐喝罪・脅迫罪の成否を判断する材料になる 取立ての文言を削除しない。怖くても、消さない
録音 「言った・言わない」の争いを、最初から起こさせない 相手に「録音している」と告げて論戦しない。ただ、記録する
相手の情報
(商号・住所・電話・担当者名・振込先口座)
登録貸金業者情報検索サービスでの照合、警察への相談、金融庁への情報提供に使う 相手のウェブサイトは、消える前にスクリーンショットを撮っておく
時系列のメモ 日付順に何が起きたかを箇条書きにするだけでよい。専門家が最も早く状況をつかめる 記憶が新しいうちに書く。後回しにしない
※証拠が揃っているほど、警察も弁護士も動きやすくなります。「証拠がないから相談できない」ということはありません。手元にあるものだけを持って、まず相談してください。
◆ 弁護士に相談するとき、持っていくもの
  • 契約書(写しでもよい)。「もらっていない」なら、それ自体が重要な事実です。
  • 振込の記録(通帳、ネットバンキングの明細)。いつ、いくら受け取り、いつ、いくら払ったか。
  • やり取りの記録(メール、メッセージ、電話の着信履歴)。取立ての文言は、消さずに保存してください。
  • 相手の情報(商号、住所、電話番号、担当者名、振込先の口座)。
  • 時系列のメモ。日付順に、何が起きたかを箇条書きにするだけでよいです。

費用が心配であれば、法テラス(0570-078374)に相談してください。資力等の要件を満たせば、無料法律相談や、弁護士費用の立替制度を利用できる場合があります。

05断り方:何を言い、何を言わないか

実務的な話をする。

相手からの電話に、どう答えるか。

ここには、やってはいけないことがある。

悪質業者への対応で言ってよいことと言ってはいけないこと 断り方 ── 言うことは、たった2つでいい

言ってよいこと ①「この件は弁護士に  依頼しました」 ②「今後の連絡は  弁護士にお願いします」 これ以上、何も説明しなくてよい。 交渉も、反論も、必要ない。

言ってはいけないこと ・「来月なら払えます」(=債務の承認) ・「半分だけなら」(=一部弁済も承認) ・「これは違法だ、払わない」と論戦する ・家族や従業員の連絡先を教える ・新しい取引を持ちかけられて応じる ・その場で結論を出す

「弁護士に依頼した」と言えるようにするために、先に弁護士へ相談する 弁護士が受任通知を送れば、相手からあなたへの直接の連絡は、原則として止まる これが、電話に出続けることから解放される、最も確実な方法だ

録音してよい。証拠として残す。着信履歴もメッセージも、消さない 「言った・言わない」の争いを、最初から起こさせないために

身に危険が迫っている・自宅や職場に来られた → その場で110番

図5:対応の原則。論戦しない。その場で結論を出さない。「弁護士に依頼した」の一言に集約する。証拠は消さない。

なぜ、「これは違法だ、払わない」と論戦してはいけないのか。

理由は2つある。

第一に、相手は論理で退かないからだ。

違法だと分かってやっている相手に、違法性を説いても意味がない。

第二に、論戦は「交渉」になってしまうからだ。

交渉の場に立った瞬間、あなたは「支払うかどうかを検討している人」になってしまう。

そうではない。

あなたがやるべきは、交渉ではなく、接続だ。

警察に、つなぐ。弁護士に、つなぐ。

それだけでいい。

06取立てが怖い、というのは、正常な反応だ

ここが、この記事で最も書きたかったことだ。

私は、これまで何人もの経営者から、同じ言葉を聞いてきた。

「違法だから払わなくていい、という記事も読みました。」

「でも、職場や家族に何かされるのが怖くて、結局、払いました。」

——この言葉を、「弱いから」とは言わせない。

それは、正常な反応だ。

恐怖のループと、それを断ち切る唯一の方法 「頭では分かっている、でも払ってしまう」の構造

違法だと知る 「払わなくていい」と読む

それでも、怖い 職場に来られたら/家族に

一人で判断する 誰にも言えないまま

払ってしまう そして、また請求が来る

ループする

断ち切る点は ここしかない 「一人で判断する」 をやめる 警察と弁護士に 同時につなぐ

恐怖は、あなたが弱いから生まれるのではない 相手は、恐怖を与えることで支払わせる方法を、意図的に使っている 恐怖を感じるのは、それが「機能している」からにすぎない

だから、「気持ちを強く持つ」では解決しない 解決するのは、あなたと相手の間に、警察と弁護士を「置く」ことだけだ 一人で立ち向かうのをやめる。それが、唯一の出口だ

図6:恐怖のループ。「違法だと知る」→「それでも怖い」→「一人で判断する」→「払ってしまう」。断ち切れる箇所は、3つ目しかない。

取立て行為は、犯罪になり得る

法律の話に戻る。

最高裁 昭和27年5月20日判決は、債権の取立てに関して、一つの枠組みを示している。

たとえ正当な権利を有している者であっても、その権利行使の方法が社会通念上一般に忍容すべきものと認められる程度を逸脱するときは、違法となる——と。

この枠組みのもとでは、権利行使を装った取立てであっても、その手段・方法が社会通念上許される限度を超えていれば、恐喝罪や脅迫罪が成立し得る。

まして、そもそも無効な契約に基づく請求であれば、「正当な権利」ですらない。

職場に押しかける。家族に電話する。大声を出す。「会社に行くぞ」と言う。

これらは、「取立て」ではない。

犯罪になり得る行為だ。

そして、犯罪を扱うのは、あなたではなく警察だ。

● 「利用してしまった自分が悪い」と思っている人へ

私は18年、この仕事をしてきました。追い詰められた経営者が、目の前に差し出された手をつかむのを、何度も見てきました。

それを「愚か」だと言う人がいます。私は、そうは思いません。

従業員の給料を払わなければならない。取引先に迷惑をかけられない。家族に心配をかけたくない。——その責任感が、藁をつかませたのです。

そして、その責任感につけこむのが、彼らの手口です。

あなたが悪いのではありません。違法な条件を提示した側が、法律に違反しているのです。

今からやることは、反省ではありません。電話をかけることです。

07通報・相談の手順(時系列)

では、何を、どの順番でやるか。

時系列で書く。

通報・相談の時系列手順 今日から、この順番で動く

0 危険が迫っているなら、今すぐ110番 押しかけられている、脅されている。この段階なら、以下は全部後回しでよい

1 証拠を保全する(消さない・捨てない) 契約書、振込明細、メッセージ、着信履歴、録音。日付順のメモを作る

2 相手が登録貸金業者かを照合する 金融庁の登録貸金業者情報検索サービスで、商号・登録番号・所在地を確認

3 警察に相談する(#9110) 無登録営業、違法な取立て。証拠を持って、最寄りの警察署へ

4 弁護士に相談する(法テラス 0570-078374) 受任通知が出れば、相手からあなたへの直接の連絡は原則止まる

5 金融庁・日本貸金業協会に情報提供する 0570-016811/0570-051051。あなたの情報が、次の被害を止める

3と4は「同時」でよい。順番を待つ必要はない

図7:通報・相談の時系列。警察と弁護士は、同時につないでよい。どちらか一方だけでは、片手落ちになる。

なぜ、警察と弁護士の両方が要るのか。

警察は、「犯罪」を扱う。

無登録営業、脅迫、恐喝。これらは警察の領域だ。

弁護士は、「契約」を扱う。

契約が無効か。既に払った金を取り戻せるか。相手からの連絡を止められるか。

これらは弁護士の領域だ。

どちらか一方だけでは、片手落ちになる。

だから、同時に接続する。

これが、この記事の最も重要な結論だ。

■ なぜ「違法だから払わなくていい」だけでは足りないのか

法的には、その通りです。無効な契約に基づく支払義務は、ありません。

ですが、その正論は、相手からの電話を止めてくれません。

相手からの連絡を実際に止めるのは、法律の知識ではなく、弁護士の受任通知です。相手を止めるのは、あなたの主張ではなく、警察の捜査です。

「知っていること」と「止まること」の間には、手続きが要ります。その手続きを代わりにやってくれるのが、警察と弁護士です。

だから、電話をかけてください。

08そもそも、この状況に入らないために

この章は、まだ契約していない人のために書く。

すでに巻き込まれている人は、読み飛ばしてかまわない。

悪質業者にたどりつく「検索の入口」は、だいたい決まっている。

← 横にスクロールできます →

検索・広告の文言 なぜ危ないか 根拠
審査なし/無審査/簡単審査 貸金業者の広告として明確に禁止されている表現。掲げている時点で規制を守っていない 貸金業法16条/日本貸金業協会 自主規制規則
ブラックOK/他社で断られた方 同上。特定の状況にある人を狙い撃ちする勧誘は禁止されている 同上
債務超過でも融資/税金の滞納がある方へ 令和7年4月の自主規制規則の改正で、明確にNGとして追加された表現 日本貸金業協会「広告に関する細則」(令和7年4月2日改正)
金融庁公認/国が認めた そもそもそのような認定制度は存在しない。虚偽表示
給与ファクタリング 最高裁が「貸付け」に当たると判断済み。無登録業者によるものは違法 最高裁 令和5年2月20日 第三小法廷決定
手数料が異常に高い(債権額に比べ著しく低額の買取代金) 偽装ファクタリングの疑いがあると金融庁が指摘している類型 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」
※上記は、これらの表現を掲げる業者がすべて違法であると断定するものではありません。ただし、規制上禁止されている表現を用いている事実自体が、法令遵守の姿勢を推し量る材料になります。

「審査が甘い会社」を探すという行動そのものが、危険な導線になっている。

なぜなら——

その言葉を掲げているのは、規制を守っていない側だけだからだ。

この逆説を詳しく書いたのがファクタリング審査に落ちる12の理由|「審査が甘い会社」を探すのが一番危ないと、即日融資のビジネスローン|「審査なし」「ブラックOK」が違法である法的理由だ。

そして、まともな業者を選ぶための具体的な手順は、ファクタリング会社の選び方|悪質業者を見抜く15のチェックリストに15項目でまとめている。

そもそもファクタリングが法的にどういう仕組みなのかはファクタリングとは|金融庁の定義から債権譲渡の仕組みを解説するを。

仕組みが分かれば、偽物が見える。

そして、融資を断られた直後こそが、この導線に入り込みやすい瞬間だ。

融資を断られた直後が、一番危ない|多重債務への転落ルートを可視化するで、その転落の順序を図にしている。

09もし、心身の不調を感じているなら

最後に、一つだけ書かせてほしい。

資金繰りの相談を18年受けてきて、私が最も恐れているのは、倒産ではない。

経営者本人が、いなくなってしまうことだ。

「もう終わりだ」「自分が死ねば保険で払える」

——そういう言葉を、私は聞いたことがある。

会社は、やり直せる。

再チャレンジ支援という制度が、実際にある。

中小企業活性化協議会には、事業の継続が困難な事業者や、保証債務に悩む経営者を対象に、円滑な廃業と、経営者の再スタートを支援するメニューがある。

「終わらせ方」にも、制度がある。

それを知らないまま一人で結論を出すのは、早すぎる。

◆ 心身の不調を感じたときの相談先
  • よりそいホットライン 0120-279-338(24時間・通話料無料。どんな悩みでも、まず話を聞いてくれます)
  • #いのちSOS(特定非営利活動法人 自殺対策支援センター ライフリンク)や、各自治体のこころの健康相談統一ダイヤルも利用できます。
  • 中小企業活性化協議会(各都道府県に設置):収益力改善支援・再生支援・再チャレンジ支援。相談自体に費用はかかりません。中小企業庁「中小企業活性化協議会」

押し付けるつもりはありません。ただ、番号がここにある、ということだけ知っておいてください。

FAQよくある質問

相手が無登録の業者でした。本当に返済しなくてよいのですか。
法的な結論は、契約の内容によります。貸金業法42条1項は、年109.5%を超える割合による利息の契約をしたときは、消費貸借契約そのものが無効になると定めています。この場合、元本の返還義務についても、不法原因給付(民法708条)の問題として争いうる余地があります。ただし、この判断は個別の契約書と事実関係を見なければできません。「払わなくてよい」と自己判断して支払いを止めるのではなく、必ず弁護士に相談してください。法テラス(0570-078374)で、要件を満たせば無料法律相談を利用できる場合があります。
「払わないと職場や家族に連絡する」と言われました。どうすればよいですか。
まず、その発言を記録してください(録音、メッセージのスクリーンショット、日時のメモ)。次に、警察相談専用電話(#9110)に相談してください。身に危険が迫っている、実際に押しかけられているという状況なら、その場で110番してください。最高裁 昭和27年5月20日判決の枠組みでは、権利行使であっても、その手段・方法が社会通念上一般に忍容すべき程度を逸脱すれば違法となり、恐喝罪・脅迫罪が成立し得ます。あなたが一人で対応する必要は、まったくありません。
怖くて、結局払ってしまいました。もう取り戻せませんか。
あきらめないでください。契約が無効であれば、支払った金銭は「法律上の原因がない」給付として、不当利得の返還を請求できる可能性があります(民法703条・704条)。また、札幌高裁 令和4年7月7日判決は、ファクタリングの形式を取りながら実質的に買戻しを強いる構造について、貸金規制の潜脱にあたり公序良俗違反(民法90条)で無効と判断しました。同種の構造であれば、同じ主張ができる可能性があります。契約書・振込記録・やり取りの記録を持って、弁護士に相談してください。
ファクタリング会社が金融庁の登録貸金業者一覧に載っていません。違法ですか。
それだけでは違法とは言えません。ファクタリングは債権の売買(民法466条の債権譲渡)であり貸付けではないため、貸金業の登録は要件ではありません。正規のファクタリング会社は、検索しても出てこないのが通常です。見るべきは登録の有無ではなく、契約の中身です。買戻特約、償還請求権、表明保証、公正証書、連帯保証人。これらが契約に現れていれば、実質は貸付けであり、貸金業に該当するおそれがあります。金融庁も、経済的に貸付けと同様の機能を有するものは貸金業に該当するおそれがあるとしています。
警察に相談しても、民事不介入で動いてくれないのではないですか。
無登録での貸金業の営業は、貸金業法11条1項に違反し、同法47条により10年以下の拘禁刑または3,000万円以下の罰金が定められた犯罪です。民事の問題ではありません。また、脅迫・恐喝も刑法上の犯罪です。したがって、これらは警察が扱う領域です。相談の際は、証拠(契約書、振込記録、やり取りの記録、録音)を持参し、時系列のメモを添えてください。証拠がそろっているほど、動いてもらいやすくなります。まずは警察相談専用電話(#9110)から始めてください。
こんな業者を使ってしまった自分が情けないです。相談する資格がありますか。
あります。相談に資格は要りません。従業員の給料を払わなければならない、取引先に迷惑をかけられない——その責任感が、目の前に差し出された手をつかませたのだと思います。そして、その責任感につけこむのが、彼らの手口です。法律が罰しているのは、貸した側であって、借りた側ではありません。今からやるべきことは、反省ではなく、電話をかけることだけです。もし心身の不調を感じているなら、よりそいホットライン(0120-279-338、24時間・通話料無料)もあります。

まとめ

この記事に、広告リンクは一つも置いていない。

置くべきではないと考えたからだ。

代わりに、番号を置いた。

警察相談専用電話 #9110

金融庁 金融サービス利用者相談室0570-016811

日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター0570-051051

消費者ホットライン 188

法テラス 0570-078374

無登録営業は犯罪だ。

年109.5%超の利息契約は、契約そのものが無効になる。

払ってしまった金も、取り戻せる可能性がある。

——だが、それを頭で知っていても、恐怖は消えない。

その恐怖は、あなたが弱いから生まれるのではない。

相手が、恐怖を与える方法を意図的に使っているからだ。

だから、気持ちを強く持つ、では解決しない。

解決するのは、あなたと相手の間に、警察と弁護士を「置く」ことだけだ。

一人で立ち向かうのを、やめてほしい。

今日、番号にかけてください。

出典・参考
金融庁「登録貸金業者情報検索サービス」
金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」
e-Gov 法令検索「貸金業法」(11条1項・42条1項・47条)
日本貸金業協会「上限金利について」
警察庁(警察相談専用電話 #9110)
中小企業庁「中小企業活性化協議会(収益力改善・再生支援・再チャレンジ支援)」
・最高裁 昭和27年5月20日判決/最高裁 令和5年2月20日 第三小法廷決定/札幌高裁 令和4年7月7日判決/東京高裁 令和3年7月1日判決/東京地裁 令和4年3月4日判決

監修:黒岩 智之(くろいわ ともゆき)
事業再生コンサルタント/中小企業の資金調達支援18年。地方銀行の融資審査部に9年在籍後、独立。これまで1,200社超の資金繰り相談に対応。建設・運送・医療介護分野の資金調達を専門とする。

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